諦めなかったBMWですら快適性との両立に10年かかった
将来的に運転支援や、さらには自動運転の時代になればなるほど、場合によっては運転免許を所持しない人も個人で自動運転のクルマで移動することが可能になるかもしれない。そうした際、パンクに対する知識さえない人がひとりで外出する可能性も出てくるだろう。
したがって、もはやパンク修理剤があればいいという段階をクルマの用途に対する機能のほうが超えようとしている。一方で、先にも述べたようにランフラットタイヤの標準装着化に、BMW以外は関心が薄い。安全なクルマとして世界的に知られるボルボでさえ、安全技術担当者はランフラットタイヤを使う予定はないと述べている。
なぜ、ランフラットタイヤが敬遠されるのだろう。BMWも、ランフラットタイヤを標準化してかなりの年月を経ているが、素直な操縦安定性と快適な乗り心地を両立できたのは2017年に国内で販売が開始された現行5シリーズからといって過言ではない。BMWが標準化に乗り出したのは、2005年の5代目3シリーズからと記憶する。そして今日まで、ランフラットを使いこなすまでに10年以上の歳月を経ていることになる。
当時、ほかの自動車メーカーもBMWと同じようにランフラットタイヤ装着に乗り出しはしたが、いずれも性能が満たされないといって採用を諦めた。だが、辛抱強く標準装着を続けたBMWはいよいよ、使いこなしたといえる。
自動運転の実現へ向けた技術開発競争が激化する今日、それを本当に安全で快適なクルマに仕立てることができるのは、ランフラットタイヤを使いこなしたBMWだけかもしれない。