パンクしても走れる夢のタイヤのハズが積極的採用はBMWのみ……ランフラットが普及しない理由とは (1/2ページ)

BMW以外の欧州メーカーはランフラットの本格採用を断念

 ドイツのBMWは、Mなどスポーツ仕様やスポーツカーを除いて、販売する量産車種すべてにランフラットタイヤを装着している。これに対し、世界のほかの自動車メーカーは、一部車種を除いて、パンク修理剤などの対応によりランフラットタイヤを装着するのは一部の上級車種に限られている。

 ランフラットタイヤとは、タイヤ側面のゴムを厚くする構造とすることで、万一パンクして空気がすべて漏れ出してしまっても、タイヤ側面のゴムの厚みで車両重量を支え、タイヤ交換のできる場所まで時速80kmほどの速度を限度に100km近く走行を続けられるタイヤだ。

 パンクしたタイヤをスペアタイヤに交換する手間を運転者自ら行わず、タイヤショップやガソリンスタンドに任せたり、パンク修理剤の利用を含め、交通の激しい道路沿いで作業を行う必要もなかったりするため、安全性が高まる。また、タイヤ交換やパンク修理剤の使用に不安のある人にとっても、不慣れな作業をしなくて済む安心もある。

 昨今のチューブレスラジアルタイヤでは、パンクをして空気が漏れ出しても一気にタイヤが凹んでしまうことはまれだが、それでも、操縦安定性に影響は及ぶので、事故につながりかねない。その点、ランフラットタイヤであれば、空気が完全になくなっても、かなりの水準で操縦安定性が保たれるので、ハンドルが重くなったり車体がやや傾いていたりといったことに気づくとしても、運転操作自体には大きな影響を及ぼさない性能に達している。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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