高齢者による事故は軽自動車や小型車であることが多い
高齢者によるペダル踏み間違いや、暴走事故があとを絶たない状況だ。警察庁による事故調査によれば、死亡や重症に至る交通事故件数が全体では減少傾向にあり、またそのなかで高齢者による事故も減ってはいる。だが、減少割合が全体に比べ劣るため、高齢者による事故が目立つ結果となっている。
ペダルの踏み間違いや暴走について、すべての事故を検証できているわけではない。だが、報道による高齢者のペダル踏み間違いや暴走事故を起こしたクルマは、軽自動車や小型車であることが多いようだ。それらのクルマは一様に、ハンドルの前後位置を調整するためのテレスコピック機能がほとんど装備されていない。
軽自動車や小型車は、小柄な人でも運転しやすいようにとペダルとハンドルの位置が設計され、それによって身長のある人が運転姿勢を調整しようとすると、ペダル位置が近すぎてしまう。ちなみに筆者は身長166cmだが、それでもペダルが近すぎる。テレスコピック機能を備えていれば、ペダル位置にまず座席を調整し、そのうえでテレスコピックによりハンドルを手前に引き出すことができる。こうして、正しい運転姿勢をとれるようになる。
テレスコピック機能のないクルマでは、ハンドル操作ができるように座席位置を決めると、ペダル位置が近すぎ、結果、ペダル踏み間違いや、ブレーキペダルの踏みそこないが起こる。高齢者になれば、関節の動きが制約を受け、また筋力も衰えがちで、頭の中では足が動かせていると思っても、実際にはその通りに動かせていない場合がある。筆者も、ペダル踏みそこないの経験が何度かあるが、幸い事なきをえている。