現代の技術なら蘇らせることが可能なものも
栄枯盛衰、日進月歩、流行り廃りといろいろあって、自動車の歴史の中で時代にもまれて消えて行った技術というのは山ほどある。
そうしたなかで、いまでも惜しい、できれば復活してもらいたいという技術を独断と偏見でピックアップしてみたい。
1)リトラクタブルヘッドライト
1970年代のスーパーカーには欠かせなかった“リトラ”国産車ではトヨタ2000GTが第一号で、2002年のFD3S(RX-7)の生産中止で姿を消してしまったが、変身・変形に弱い世代としては、復活してもらいたい技術のひとつ。
歩行者保護、空気抵抗、複雑で重たいライトがオーバーハングにあるので、Z軸まわりの慣性モーメントが増える、コスト増、故障の心配、終日点灯義務の国があるetc……などの問題があるようだが、歩行者用エアバックなど併用すれば安全面はクリアできるだろうし、故障の心配なんて、30年前のロードスターだって問題ない。
燃費や重量もネックだろうが、少々効率が悪くても、カッコよかったり、面白かったり、魅力的であるほうが大事なのでは?
2)ロータリーエンジン
2012年のRX-8の生産中止以降、たびたび復活がささやかれているロータリーエンジン。
コンパクトでシンプル、騒音振動が少なく、ハイパワーが望める「夢のエンジン」として、独自の存在感を持っていた魅力的な技術だが、排ガス規制、燃費規制の面では有利といえず……。
水面下ではいまでも技術開発を行っているので、いつの日か復活して欲しい技術のひとつだ。
3)VGS
VGS=Variable Gear ratio Steering(バリアブル・ギヤレシオ・ステアリング)は、ホンダがS2000 type Vに採用した、世界初の車速応動可変ギヤレシオステアリングシステムのこと。
低速走行時から高速走行時まで、車速と舵角に応じてステアリングのギヤ比を無段階に変化させ、ワインディングではハイレスポンスなハンドリングを、高速走行時には安心感のあるハンドリングを、というのが狙いで、VSG車のロックトゥロックは、従来のクルマの約半分の1.4回転に設定されていた。
狙いは秀逸で、とても可能性がある技術だったと思うが、スポーツ走行では、リニアなフィーリングとは言いづらい部分があり、とくにカウンターステアが難しいというか、不自然だった。
しかし、それはセッティング等の問題だったとも言えて、根気よく煮詰めていけば、やがて多くの人に支持されたはず!
はじめの頃は、パワステもABSも不評だった時期があったことを考えると、お蔵入りさせてしまうにはもったいない技術だと思う。
4)オートスポイラー(アクティブエアロ)
かつては日産R31スカイラインや三菱のGTO、トヨタの80スープラで話題となったオートスポイラー。ポルシェも964以降の911やボクスターに採用し、フェラーリのアクティブ・ディフューザー・フラップス(488 GTB)やアクティブエアロダイナミクスラ・フェラーリ)などがあるので、消えてしまった技術ではないが、国産スポーツではご無沙汰気味。
燃費と高速時のスタビリティの両立を考えると、可変エアロはこれから重宝されるべきテクノロジーなので、日本のメーカーにも本気になって取り組んでもらいたい分野でもある。