クルマ自体がまさかのVIP扱いに
少し前になるが、北京モーターショーへ取材に行った際、その日は雨で同行人数も多かったのでタクシーで宿泊先まで帰ろうとなったのだが、なかなかつかまらないので、目の前に路上駐車していたGL8のドライバーに乗せてもらえないかと、つまり即席ライドシェアの交渉をしてみたことがある。当然ドライバーと価格交渉となるのだが、その際に「これはGL8だから少々高くつくよ」みたいなことを言ってきた。多少のディスカウントをドライバーが承諾してくれ宿泊先まで送ってくれた。
そしてドライバー氏は翌日の送迎を申し入れてきたので頼むと、翌日は特別なパスがなければ入れない、会場直結となるVIP用のクルマ寄せまで連れて行ってくれた。空港で車両のチャーターを呼び込んでいたお兄さんも、「GL8だから」みたいなことを言っていたので、GL8はある意味特別なクルマであることは間違いないようだ。
中国汽車工業協会の統計によると、2019年1月と2月の合計販売台数においてGL8はミニバンカテゴリーで1万4900台を販売して第4位となっている。ちなみに上位3車はコンパクトサイズ(アトレーやエブリイのような存在で多人数乗車可能)のミニバンとなっており、高級商務車での販売台数トップとなっている。
GL8の強みはなんといっても中国で現地生産されていることがまず挙げられる。ここのところ中国メーカーもこのカテゴリーへのラインアップ強化を行っているが、GL8の商務車、つまり2代目のエントリーモデルでも価格は22.99万元(約413万8200円)なのに対し、GL8に迫るBYD宋MAXのエントリーモデルは7.99万元(約143万円)と大きく価格差がある。にもかかわらず宋MAXより売れているのだから、その人気の高さというものも感じずにはいられない。500万円ほどの価格帯の車両が月販平均で8000台近く売れるというのも、中国市場のパワーを感じてしまう。
アルファード系は日本からの完成車輸入となるので、販売台数競争はもとより、価格もGL8をはるかにしのぐ高額となるので、もともと購買層が根本的に異なってくるともいえる。トヨタとしてもあえてGL8のように現地生産に切り替えてまでの増販は考えていないようである。日本製で日本から輸入しているというところまで含めて、アルファードの中国での“高い価値”があると考えて良いだろう。