「令和元年」に発売されるクルマとその第1弾とは? そこから見えた近年の新車販売の難しい現実 (2/2ページ)

スープラは発売を前にしてすでに受注終了となったグレードも

 このような売り方になった理由は、今のメーカーが、新型車の販売動向を予想できなくなったからだ。そのために早期に受注を開始して、生産を開始する時には、販売台数やグレードの内訳、人気のオプション装備などを確定できるようにした。

 つまり生産するメーカーの都合により、ユーザーと販売会社は、実物を見ないで商談したり契約する危険を負担させられている。これでは新型車のインパクトも弱まり、話題になりにくい。

 スープラは、直列6気筒3リッターターボのRZが2019年の受注を終了した。購入するなら2020年モデルを待たねばならない。「直列4気筒2リッターターボのSZとSZ-Rは、今でも受注できる」という。ただし納期は12月頃だから、相当に待たされる。

 いずれにしろ、トヨタはスープラ、マツダはMAZDA3を令和で最初の車種として5月中に発売する。それ以外の新型車にはダイハツ・タントがあるが、販売店では4月下旬の時点で「メーカーから発売日を聞いていない」という。6〜9月頃という噂もあるが、明らかではない。

 ホンダでは2019年に、少なくとも2車種のフルモデルチェンジが予定され、販売店によると「N-WGNは7〜8月、フィットは10〜11月に一新する」という。

 つまり令和になって最初に発売されるホンダの新型車はN-WGNだ。N-BOXと同じくホンダセンシングが搭載され、燃費も向上して、価格はN-BOXに比べて15〜20万円は安い。

 このほかスバル・レガシィも予定されるが、販売店では「細かな日程は明らかにされていない」とのこと。日産は3月に発売されたデイズのみらしい。

 最近は各メーカーとも海外市場に重点を置くから、国内で発売される新型車は大幅に減った。自動車業界の令和元年は、寂しい幕開けになりそうだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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