走行時のCVTとエンジン音はライバルより大きめに感じる
しかし、走り初めてエンジンの回転が高まると、ややノイジーな印象を受けてしまう。今回の試乗モデルはすべてFF(前輪駆動)モデルが用意され、車体後部のロードノイズなどはよく封じ込まれているが、とくにCVTからのノイズが気になった。説明ではCVTの油圧回路の特性で音が発生しやすいようだが、今後改善が望まれる。
走行性能自体はターボの過給ピックアップと電動アシストトルクがタイミングよく繋がり力強い。アクセルペダルの踏み込み量に対して大きめのトルクが引き出せるのは兄弟車となる三菱の新型「eKクロス」より優れている印象だが、FFと4WDでの違いがあるのかもしれない(eKクロスの試乗会はすべて4WDだった)。
高速道路の合流で全開加速を試みたが、そこではエンジン音も大きめになり静かさが打ち消された。開発陣は静粛性には自信があると言っていたが、筆者の印象としてはホンダN-BOXのほうが静かに思える。停止時や低速走行時が静かなので音量の差が大きくなることがマイナスに作用しているのかもしれない。
ハンドリングを試すほどのコーナーはコース内になかったが、ライントレース性の正確さとロール感の少ない走行姿勢は感心できる。
デイズには三菱eKクロスがオプション設定していたデジタルルームミラーは設定されず、自動防眩ミラー仕様となっているのも興味深いところ。またルーフ前方に緊急エマージェンシーコールボタンが備わる。これは先進事故自動通報システムSOSコールと呼ばれるもので、エアバッグが展開するなど事故を感知すると自働的に通報される機能と、煽り運転に遭遇した時などは手動で緊急通報できるものだ。これは三菱eKシリーズには搭載されず、デイズだけに採用される機能としている。
新型デイズは旧型との対比でホイールベースが65ミリも拡大されており、これで後席の足もと空間は圧倒的に広くなった。数値的には日産の高級車「フーガ」を凌ぐとも言われていて競合車にも負けない広さだ。
また後席フロアを平らにするため床板が上昇している。これで身長120cm前後の子供の足付き性が向上し、また荷物などの積み込みもしやすくなったとのこと。ただ後席にも乗車したが、身長170cmの筆者だと体育座り的姿勢になり、大腿が持ち上がって落ち着かない。「大人は座らないだろう」と割り切りがあったようだが、そこはどうかと思う。
ターボの次はノンターボの「ハイウェイスターX プロパイロットエディション」にも試乗した。ノンターボモデルでもスマートシンプルハイブリッドを搭載しており、市街地でのドライバビリティは文句ない。静粛性も高く快適だが、高速域でのノイズレベルはターボ以上になり、80km/h以上で走り続けるのは気が引けた。
今年はホンダが同クラスのN-WGN(エヌワゴン)をフルモデルチェンジすると言われており、ベストセラーで完成度の高いN-BOXの美点をどこまで引継いでいるのかも注目されている。その時期がきたら各社各モデルを一斉に集め比較評価することを楽しみにしている。