RRとMRというレイアウト違いの闘い
3)ポルシェ911 vs ミッドシップ・フェラーリ
最後のガチバトルはポルシェ911vsミドシップ・フェラーリだ。
ポルシェ911は言わずと知れたRR(リヤエンジン後輪駆動)レイアウトが特徴のスポーツカー。片やミドシップ・フェラーリはエンジンをミドシップにマウントし後輪を駆動するMRレイアウトのイタリアを代表するスーパーカー。近年のフェラーリは最大マーケットである北米市場の人気を意識してロングノーズのフロント・エンジン、後輪駆動のFRモデルがとくにハイエンドに多く設定されているが、もっともフェラーリらしいのはやはりMRのモデルといえるだろう。平成時代のMRフェラーリは348tbが1989年(平成元年)に登場。その頃の911はタイプ930の後期型が主力で964型への移行期にあった。
RRの911は車体後部が重く、ハイスピードドライビングが難しいと言われていたが、実際にサーキットで走らせるとシャシー剛性の高さと制動性能に圧倒され、むしろ安心して周回できた。サーキットでレーシングカーを開発し、その部品やテクノロジーを市販車に流用するという開発のスタイルは他メーカーとは真逆のアプローチと言えたが、スポーツカーを生み出すうえでは理に叶った手法だったといえる。
その強力なポルシェを理論的に優位となるMRレイアウトで打ち負かそうとしたのがMRフェラーリだったといえるだろう。フェラーリは348以前にも328や308といたV8エンジンをミドシップに搭載したモデルが存在していたが、人気のほどには走りの実力は高くなかった。
に進化してかれもポルシェ911の壁は高く、ようやく対等に闘える実力を身につけたのは1994年(平成4年)に登場したF355からだった。それはフェラーリF1でニキ・ラウダを擁して世界チャンピオンに押し上げたルカ・モンテゼモーロ氏がフェラーリの社長に就任したころで、スーパーカーの象徴としてだけでなく実力面でも真のスーパーカーとすべくF355を鍛え上げることを指揮したとされている。
911はタイプ964から「カレラカップ」というワンメイクレースシリーズを世界規模で立ち上げ、フェラーリも348から「チャレンジカップ」を開催。両モデルのカップカーを直接対決させる企画も各メディアなどで実施され世界中の両ファンを熱くした。
さあ、新しい「令和」の時代の始まりだ。この新時代を象徴するライバル関係は、どのモデルがどんなカタチで展開していくのだろうか。