インテリアも軽自動車とは思えない質感に
今回の新型eKシリーズも日産自動車と三菱自動車が共同出資して設立した「NMKV(日産・三菱・軽・ビークル)」が設計開発する商品。日産系では「新型デイズ」として販売される。従来は三菱自動車が設計開発し日産自動車にOEM供給する型式であったが、NMKV設立以後は日産自動車の役割分担が増していた。そして今回の新型eKシリーズでは企画・設計・開発とほとんどの部分が日産自動車主導で進められたという。純粋に三菱自動車独自で手がけられたのが「ダイナミックシールド」のフロントフェイスを含む車体デザインなのだ。
さらに外観を特徴づけているのがルーフと車体色を分けた流行のツートーンを設定したことだ。車体色は全11色。加えてルーフからも5色が用意され全33パターンのカラーバリエーションが展開されている。試乗車はアイボリーの車体色にオレンジのルーフが配色されたお洒落な出立ちだった。
運転席に着座するとモダンなインパネデザインが好印象。ダッシュボード上部センターに配されるモニターは9インチと大型で視認性、操作性ともに優れている。またツートーンで高級感のあるダッシュボードはソフトパッドで覆われ上質に仕上げられている。
エアコンスイッチはタッチ方式で素早く反応し、前席左右にシートヒーターも配されるなど上級な装備を誇る。またオプションながらデジタルルームミラーが備わり、運転席まわはおおよそ軽自動車とは思えない。
革巻きステアリングホイールには「MIパイロット」の操作スイッチが備わり、これは日産の「プロ・パイロット」に準じたものだが三菱自動車としては初めて装備されるもの。MIパイロットは車線中央キープと車間距離キープのアシストを可能とし、渋滞追従完全停止から再スタートまでをACCがカバーできる仕様。
新開発されたエンジンはBR06型3気筒で、これにターボチャージャーを装着し、さらにマイルドハイブリッド化して動力性能と燃費環境性能を高めている。エンジンを始動するとアイドリングは極めて静か。初期の始動時はスターターモーターを使用するが、それ以後のアイドルストップからの再始動などではハイブリッドモーターの役割を果たすジェネレーターモーターがベルト駆動でエンジンを再スタートさせる。このジェネレーターモーターは最高出力は2PSと小さいが最大トルクは40N・mが引き出せ、発進や加速時にパワーブーストとして機能する。
またモーターへの給電は運転席シートに配置されたリチウムイオンバッテリーから行われる。今回ekクロスはノンターボもマイルドハイブリッド化されているが、もっともベーシックなガソリンエンジンのみの仕様でもリチウムイオンバッテリーは備えていて、電装装備への給電を行いオルタネーターの負荷を減らして燃費性能を高めているという。トランスミッションはCVTだが高回転域ではステップ比が刻まれ4速ATのような加速フィールと音的な改善が図られた。