ガソリンは夏と冬で仕様が異なる
ただし、クルマの使用頻度が極端に低い人は、多くの燃料を入れたまま保管するのはすすめられない。ガソリンは古くなると成分が酸化したり変質したり揮発成分が抜けて劣化するので、半年以内に使い切るのが基本。それ以上、放置しなければならないときは、燃料劣化防止剤を入れておきたい。
また、軽油は寒冷地用とそれ以外で品質が違うことが知られているが、じつはガソリンも夏と冬で仕様が違う。夏用のガソリンは、高温時の揮発性を低めて「ベーパーロック」の発生を抑えてあり、冬用のガソリンは低温時の揮発性を高めてエンジン始動性を高めてある。こうした事情を考えても、ガソリンも軽油も半年以内に使い切った方が無難。
以前は、ガソリンの残量が少ないとタンクが結露し、タンクが錆びたり水分でエンジンが不調になるとも言われていたが、いまのクルマの燃料タンクは樹脂製が主流なので錆びる心配はない。また仮に結露して水分がタンク内にポトンと落ちたとしても、燃料ポンプは燃料タンクの底面から燃料を吸い上げる仕組みなので、タンクの底に水分だけが溜まることも理屈上ない。
反対に、その燃料ポンプはタンクの中で燃料に浸されていることで、冷却・潤滑されていることを考えると、燃料ポンプの寿命のためにも、あまり燃料は空っぽにしない方がいい。とくに坂道などでガス欠気味になると、その燃料ポンプが空気を吸って空回りし、一気にポンプの寿命を縮めるので、できればエンプティランプが点く前に、給油するのが理想だ。
まとめると、燃料は満タン給油がひとつの基本。ただ、燃料の鮮度の問題や、タイヤの空気圧も定期的に点検したいということを考えると、使用頻度が低い人は、1~2カ月で使いきれる分だけ給油し、日常的にクルマを利用する人は毎回満タンが賢い給油。誰が、どれぐらい給油するかは最終的には個人の自由だが、スマホだって出かける前には100%充電し、「50%まで」なんて決めている人は稀なはず!(余談だが、リチウムイオンバッテリーは満充電状態が長く続くと劣化が進む)
ゴールデンウィークなどで遠出するときも、地域によってけっこうガソリン価格に違いがあるので(高速道路のSAも高い)、近所に安いガソリンスタンドがあればそこで満タンにしてから出発。出先ではガソリンスタンドが少ない場所も多いので、残量が半分を切ったら早め早めに満タンにするよう心がけよう。