優秀なATほど常にDレンジが最適
また平成に入り、小型車を中心にCVTが普及したのも大きな要因といえるだろう。CVTは無段変速が特徴なので、本来は2速、1速といった概念がない。したがって「2」「L」レンジもあり得ないので、これらのレンジは不要になった。
もっともCVTでもスポーツモードやマニュアルモード付きのものがあって、多段ギヤのトルコンATのような操作が可能になっているが、これらもパドルシフトやパドルボタンで操作するので、「2」「L」などのポジションはいらない。トルコンの多段ATもCVTも、燃費をよくするために高いギヤを使いつつ、滑らかな変速、スムースな加速を得るために進化してきた技術。
いずれもDレンジに入れておくだけで、環境や道路の状況、起伏、ドライバーの操作に合わせ、最適なシフトポイントを自動的にコントロールするプログラムになっているので、優秀なATほど、基本的にDレンジが一番効率のいいエンジン回転数で走ることができる。
というわけで、セレクトダウン、セレクトアップの出番は減っていく一方で、シフトチェンジに関してはフルオートが当たり前になる日も近いだろう。