歴代モデルを乗りついできたマニアライターが語る! カローラは断じて高齢者向けのクルマではない (2/2ページ)

カローラは高齢者向けに開発されているクルマではない

「“免許証返納”が話題になっていますが、まだまだ現役バリバリで運転なさるお客様は多いです。この層になると現行カローラでも『ボディが大きい』というお話をよく聞きます。たとえば3代目カローラのボディサイズが全長3995×全幅1570×全高1375㎜(現在の軽自動車規格は全長3400㎜以下×全幅1480㎜以下×全高2000㎜以下/全幅では初代カローラがほぼ同じ)なのに対し、現行モデルは全長4360×全幅1695×全高1460㎜ですから、3ナンバーサイズになるかならないかで話題になる以前に、すでにボディサイズは歴代モデルよりかなり拡大しているのです。」

 つまり若いころ乗っていたカローラと比べれば、現行モデルでもサイズが大きいと感じているひとも多いようだ。「またご家族の反対などもあり新車への代替えも難しいです」と事情通は語る。あるディーラーでは75歳以上のお客が新車を購入した場合、受注段階で親族へ確認することになっているとのこと。免許返納後に新車を購入してしまうケースも多く、「なんで新車を販売したんだ」と親族からクレームがくることも多いそうだ。

 話を戻すと、かつてはアクアやプリウス並みに売れていたカローラも、いまやアクシオだけで見れば2000台そこそこ。つまり若いころからカローラに乗っていたユーザーが、ボディサイズの拡大などもありそのまま乗り続けていたり、営業車としての法人ユースがカローラの販売を支えていることによって、ユーザー年齢は高齢化している。だがけっして“高齢者向けに開発されているクルマ”ではないことだけははっきり言っておこう。ただ現行モデルはユーザー年齢の高齢化を意識してしまった部分も多く、運転しやすいが面白みや洒落っ気が足りないという部分で高齢者向けのクルマのように見られてしまうところは残念だが否定できない。

 だからこそ、間もなく登場する12代目カローラセダンは3ナンバーボディらしい伸びやかさや、洒落っ気の目立つスタイリングなど、“令和”の時代にふさわしい新たなカローラユーザー層を作り出してくれる予感がする、そんな可能性を秘めたモデルとなっている。次期カローラセダン(全幅が多少狭くなるとの話がある)は基本的に世界市場でのカローラと共通化される。現行モデルは完全にグローバルモデルとは異なるが、次期モデルはユーザー年齢の若いグローバルモデルとほぼ共通化される見込みなので、いまはSUVなどへ高い興味を示す団塊世代の一部だけでなく、さらに若い世代まで取り込めるポテンシャルを持っているのではないかと期待している。

 元来カローラは“80点主義(すべての要素で合格点の80点をとる)”を誤って捉えられたりしていて、世の中での評価は芳しくなかった。しかし50年以上車名も変えずにラインアップを続けてこられたのは並大抵の努力や志ではできないことである。事実、シビックは最近復活したものの、かつてのライバルであるサニーやファミリアはとっくに消え去っている。ちなみにステーションワゴンであるフィールダーは、“キムタク効果”もあり、アクシオより若いユーザー年齢層を構成しているのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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