一体何が凄い? 最近のクルマでよくアピールされる「高張力鋼板」とは (2/2ページ)

ぶつけたときに修理費が大きく嵩むのがデメリットか

 またひと口にハイテンション鋼板と言っても、590MPaや1500MPaなど、その強度によって違いがある。素人目には高いほう(数字が大きいほう)がいいのではと思ってしまうが、高強度ゆえ、衝突時の変形という点では遜色が出てしまう。つまり適材適所で、従来の鋼板との使い分けが必要となる。

 さらにデメリットもあって、張りが強いゆえに裂けやすかったり、プレスで形が作りにくいなどがある。そもそも価格が高いのも大きなデメリットで、新車の紹介では全体の何ナンパーセントで使用というのは、これが大きな理由だ。つまり高いけど、これだけ頑張って使いましたということなのだが、いずれにしても車両価格には跳ね返るわけで、最近のクルマが高いと言われる理由のひとつとなっている。

 そして、われわれユーザーにとって大きなデリットがある。それがぶつけたとき。簡単に言ってしまえば、板金がとても難しいし、溶接機も専用のものが必要。さらにパテも高張力鋼板用を使わないといけないので、パネルごとの取り替えが基本になっているなど、修理費用は高くなるばかり。いい素材なのはわかるが、これは痛いところだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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