メーカーはそのクルマにあった乗り味になるよう数値を指定する
まずは安全が保障される最大負荷能力をクリアする空気圧が基準になり、その上で乗り心地やグリップ感を重視するなら、やや低めの空気圧。転がり抵抗の少なさ(燃費の良さにもつながる)や剛性感、耐ハイドロプレーニング性能を重視するなら高めの空気圧にするといった味付けを自動車メーカーは行っている。
また前後のタイヤの空気圧を変えることで、ハンドリングのセッティングもできる。具体的には、フロントの空気圧が高めならアンダー気味になるし、リヤが高めならオーバー気味になる。これらは20kPaぐらいの違いで体感できるはずなので、興味がある人は指定空気圧を基準に、0~+20kPaの範囲内で調整してみるのも面白い(指定空気圧より下げるのは、基本的にNG)。
というわけで、指定空気圧は自動車メーカーがデータに基づいて決めた重要な基準値。例外的にフェラーリなどは、タイヤメーカー側に設定を任せることがあるが、これはレーシングチームの発想といっていい。
空気圧は、ユーザーが思っているよりずっとシビアなものなので、最低でも月に一度、できるだけ走行前の冷えている時にガソリンスタンドなどでチェックし、つねに適正空気圧をキープできるよう心がけよう。
ちなみに空気圧を調整する前にある程度の距離を走ってタイヤが温まってしまったときは、とりあえず指定空気圧より20~30kPa高めに調整して、あとでタイヤが冷えたときに再調整するといい。