NISMOはパワーではなくバランスを求めた
ニューヨークショー2019の前夜祭で世界初公開されたGT-R2020モデル。ほぼ同時刻で日本でもお披露目されたが、WEB CARTOPでは独占でGT-Rのキーマンである田村宏志さんに開発の経緯をお聞きしたのでお届けしよう。
――2020モデルの開発コンセプトを教えてください。
田村:私が担当して以降は主にGTゾーン、いわゆる基準車を強化してきましたが、2020モデルはRゾーン、すなわちNISMOにフォーカスしています。究極のドライビングプレジャーを求める以上は、まだまだやるべき事はたくさんありました。
――現行モデルではどのような課題があったのでしょうか?
田村:NISMOは600馬力ですが、それを一つの区切りとしてほかのバランスを上げていこうと。
――スペックは不変ですが、新たなターボを採用した理由は?
田村:元々NISMOはアブレダブルシールを採用していましたが、更にレスポンスを上げるために羽の枚数の変更(11→10)と形状を変更しています。レスポンスとNISMOの力強さを両立させたのが2020モデルです。もちろん、それに合わせてエンジンのマッチングも再チューニングしています。
――トランスミッションは?
田村:ハードはほとんど変えていませんが、エンジンに合わせて制御を変更しています。とくにRモードはより引っ張れる設定で、ダウンシフトも鋭くなっており、レスポンスが向上しています。
――シャシー側も広範囲で手が入っていますが。
田村:トータルバランスと言うことなので当然だと思っています。「ブレーキがサーキットや超高速域で利かなくなってくる」と言う声もありましたのでカーボンセラミックブレーキを採用しました。当然、バネ下重量が軽くなるので、サスペンションのセットアップも変更しています。また、よりグリップの高いタイヤを採用したので、ホイールもより軽量で剛性の高い物に変更しました。