後輪操舵がメリットを発揮するのは狭い場所での旋回時
そして機能的にはやはり切れすぎるというのが一番の問題だ。フォークリフトなどが採用しているのは狭い場所でも旋回できるからで、クルマの場合、車庫入れでは重宝するかもしれないが、高速で走っているときは逆に危険。一気にスピンだろうし、切れないように制御すれば大丈夫だろうが、メリットを殺してまで切れないようにする意味はない。4WSのクルマは前輪メインで、後輪はそれをアシストすべくホンの少し、わからない程度に切れるわけだ。
肝心のコーナリング時にも問題があって、基本的にはアクセルを戻したり、ブレーキを進入で踏むため前荷重になっている。それなのに、後輪が切れるとどうなるか? ただでさえ大きく一気に切れるうえに荷重が抜けているので、一気にスピンするか曲がらないかのどちらか。コントロールできたものではないはず。
そもそもクルマの技術というのは、現状で問題がなければそのままというのが基本でもある。リスクは増えるし、何十年にもわたって進化させてきたものとは別に、イチから開発しなおさなければならないのは無駄だし、意味もない。
それにクルマが発明されたばかりの試行錯誤の時代には、おそらく後輪操舵も検討されたこともあるわけで、それでも進化発展しなかったのは、やはり無理があると先人が思ったからだろう。