新開発の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」の効果を実感
まずはガソリンモデルのアドベンチャーグレードに試乗した。このモデルは内装や外観の仕上げがファッショナブルで高級感も溢れている。シートヒーターや電動パワーシート、デジタルインナーミラーなど装備も充実している。
しかし注目したいのは4WDシステムだ。「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と名付けられた最新の4WDシステムを装備しているのだ。2リッター直4ガソリンエンジンをフロントに横置きし基本は前輪駆動としているが、必要に応じてフロントアクスル内にある電磁クラッチが作動し瞬時にリヤアクスルへ駆動力を配分する。FF走行状態ではプロペラシャフトを遮断して回転させないので、機械的損失が減少し燃費を良くする。
一方リヤアクスルにも新しい動力分割機構が備わっている。左右のドライブシャフトに電磁クラッチ式カップリングを設け、それぞれ0~100%の範囲で駆動力をコントロールできる。FF走行時はカップリングを切り離しプロペラシャフト同様にデファレンシャルの回転も抑えるなど抵抗軽減しつつ、旋回加速度0.4G以上を感知すると積極的に左右のクラッチ締結強度をコントロールしベクタリング効果を引き出すのだ。三菱のランエボが搭載していたAYC(アクティブヨーコントロール)に似たメカニズムであり4WD時の前後駆動力配分は50:50で固定されているが、後輪左右が0~100で配分できるのでヨーレイトの立ち上げには非常に効果的なのだ。
試乗コースにダート悪路、モーグル路なども設定されていたが、ダートでの高速旋回ではアクセルを踏み込みながらステアリングの切り込みに対しリヤがヨーを起こしていく感覚が手に取るように感じ取れた。ただ0.4G以上かつアクセルオンで最大効果が発揮されるので、使いこなすには高いドライビングスキルが必要とも感じた。
2リッター直4エンジンは、競合がディーゼルターボや電動ハイブリッドなどで低速トルクを強力に引き出せているなかでは力不足を感じるのは否めない。またリヤサスペンションにトレーリングアーム式ダブルウイッシュボーンを採用するなどTNGAに相応しいメカニズムを与えられているものの、ダンパーの固さが気になり乗り心地面の質感や快適さに不満を感じる。