超高性能SUVの火付け役は意外にも日本車!?
3)ハマーH1
すでに絶版となって久しいが、10数年前に一斉を風靡したハマーの本家モデルといえばH1。90年代は湾岸戦争のニュース映像にもチラっと映ったことで注目された軍用車ハンヴィーの基本コンポーネンツを流用した民生仕様で、成り立ちはガチの軍用車。
全幅は約2.3m、車重は3.5トン級の巨体なので、動きは鈍重と思われがちだが、大げさにいうと、運転感覚はまるでライトウェイトスポーツのように軽快。日本の狭い道では持てあます巨体ながら、四輪のタイヤとボディの四隅までドライバーの神経が繋がっているかのようにインフォメーションが濃いのは、砂漠やジャングルで命のやりとりをする戦場育ちならでは。感覚が掴みやすいので、日本の道路でも国道レベルなら過度にビビることなく思いのほか普通。
大きさや存在感もすごいが、「じつは壮絶なまでに扱いやすい」というところに、真のスーパー性能を感じさせる。
4)ポルシェ・カイエン
初代モデルは2002年から発売され、お金持ち界隈では、メルセデスのGクラスと並ぶお馴染みの定番SUVとして人気を博してきた。東京の目黒通りなどでは、セレブの奥様のゲタとしてすっかり定着していることもあり、そのスゴさが目立たなくなっているが、今もなお、多くのクルマ好きが感動できる硬派なスポーツ性能を備えたSUVであることに変わりはない。
玄人筋からポルシェのマニアまで、ポルシェというクルマの走りの質にこだわる人が乗っても「これはポルシェだ!」と納得させる乗り味を発揮し続けているのは流石だ。登場した当初は「ポルシェがSUVなどけしからん!」などと、古参の顧客からクレームが出まくったというが、そうした雑音をかき消したのは、カイエンがポルシェの名にふさわしい走行性能を備え続けてきたからである。弟分のマカンが追加されてもカイエンの販売台数が落ちなかったのもスゴかった。
5)スバル・フォレスター(初代)
今回のラインアップのなかでフォレスターが、しかも初代モデルが挙がることに違和感を覚える読者は多いだろう。スバルが好きな筆者個人の趣味による贔屓目も度がすぎる!などと怒られそうだが、今日もてはやされる「走りが強烈なスーパーSUV」の先駆けは、1997年登場の初代フォレスターにあるといえる。
WRC3連覇などで名車の誉が高い初代インプレッサWRXの基本コンポーネンツを使って作られたので、当時のほかのSUVとは一線を画する走りの良さで、当時は玄人筋からも高い評価を得た。フォレスター以前にも、ランボルギーニのLM002や、アメリカで大パワーのSUVは存在したが、「オンロードでもスポーツカー的に速いSUV」はフォレスターが最初。フォレスターの成功がポルシェ・カイエンの誕生を早めて「バカっ速SUV」の市場を開拓。世界の名だたる高級豪華ブランドがこぞって追従したと、筆者は信じている。