今では車高を下げることが目的のエアサスが流行
ハイドロニューマチックサスペンションは、通常走行では比較的柔らかい乗り心地でありながら、カーブなどで荷重移動が生じた際にはしっかりと踏ん張り、安定性を維持するなど、快適性と走行安定性を両立する効果を発揮した。また、車高調整もできるため、舗装路から未舗装路へ走り出る際も、床下を打つ懸念を減らすことができる。
一方で、保守管理には金属ばねとダンパーを使うサスペンションに比べ手間がかかり、年式を経ると維持に費用が掛かるなどもあった。
1980年代に入ると、アクティブサスペンションの開発が活発になり、電子制御により姿勢制御を行うエアサスペンションが、86年のトヨタ・ソアラで世界初採用された。その後今日においても、たとえばジャガー初の電気自動車(EV)となるI-PACEなど上級車種で、快適な乗り心地と高性能な走行性を両立するエアサスペンションの設定がある。
自動車メーカーの取り組みとは別に、クルマのドレスアップのため車高を下げるのを目的に、アフターマーケット部品としてエアサスペンションキットが販売されている。金属バネを外してこのキットを取り付けることにより、地面を擦るかのような車高へ下げることができ、走行する際は支障のない地上高まで車高を上げられる。