今じゃ当たり前の直噴エンジンを初めて量産車で採用したクルマも
5)マツダ・デミオ(初代)
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初代デミオはバブル期の5チャンネル制の失敗などにより、フォード傘下となり外国人社長が送り込まれるなど当時厳しい状況下にあったマツダが、使える基本コンポーネンツを使って送り出したコンパクトハイトワゴンである。
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ハイトワゴンといってもボディサイズは全長3800mm、全高もタワーパーキングの入庫にも困らない1550mm以下に抑えられた。その割に車内、ラゲッジスペースは広く、前後シートをフラットにすれば車中泊も可能と非常に実用的で、加えて価格も非常に安かったこともあり出来はそれほどいい訳ではなかったが、長期的に好調な販売をキープし、苦しかったマツダにとっては救世主的な存在となった。
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6)三菱ギャラン(8代目モデル)&レグナム
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8代目ギャランとそのステーションワゴンとなるレグナムは、直噴ガソリンエンジンを量産車としては世界で初めて実用化した。燃費とパワーを高次元で両立できる直噴ガソリンエンジンはインジェクターなどのコストや各部品に要求される精度の高さなど、実用化へのハードルは非常に高いものだったが、それを克服し実用化した三菱自動車の技術力は非常に高かった。
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直噴ガソリンエンジンは今では当たり前の存在となったが、先駆者だった三菱自動車がエンジン内にススが溜まり黒煙を出すなどの問題により早期に撤退してしまい、2018年に登場したエクリプスクロスの1.5リッター直噴ガソリンターボが三菱自動車にとって久々の直噴エンジンとなったのは少し皮肉な話である。
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7)三菱ランサーエボリューションⅣ&ホンダ・プレリュード(5代目)
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ランサーエボリューションⅣにはAYC(アクティブヨーコントロール)、5代目プレリュードにはATTS(アクティブトルクトランスファーシステム)と命名された前者は前輪、後者は後輪それぞれの外輪の回転を速めることでコーナリングスピードを高めるデバイスが装備された。
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とくにATTSは違和感が強く、短命であったものの、ATTSは現在のNSXやレジェンドのハイブリッドも関連するSH-4WDにつながり、AYCは現在も進化を続けるなど、将来性のあるメカニズムだった。
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8)スバル・レガシィ(2代目)のマイナーチェンジモデル
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レガシィは初代モデルに続き2代目モデルも大成功を納めたモデルだった。その実力は1996年のビッグマイナーチェンジでさらに高められるのだが、この際の2リッターターボ+MT車はインプレッサWRXやランサーエボリューションより早く当時の日本車の自主規制一杯となる280馬力を2リッターで達成し、記念すべきモデルとなった。
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