あくまで支援であって過信は禁物な装備も
自動運転も見えてきた今、自動車はどんどんハイテク化が進んでいる。ドライバーの負担を軽減したり、事故を防止するための安全装備も充実してきた。しかしまだ発展途上で、あと一歩進化してほしい、状況によってはオフにしたほうがいいと感じてしまう装備もある。モータージャーナリストの青山尚暉さんが、3つの装備について解説する。
1)ACC(アダプティブクルーズコントロール)
先進運転支援システムは、多くの場合、ドライバーに多大なるメリットをもたらしてくれる。たとえば、ACCと呼ばれる「前車追従型クルーズコントロール」がその代表例だ。かつての一定速度をキープするクルーズコントロールと違い、前車との距離を任意で一定の距離に保てるため、自動ブレーキが働く以前のプレ自動ブレーキにもなり、追突事故の危険性は格段に減少する。
さらに、渋滞追従型(必須)なら、ACCの恩恵をもっとも得られる高速道路の渋滞時にも、ペダル操作なしで停止、発進が可能。渋滞でのストレス、肉体的疲労を劇的に低減してくれる。
ボクもACC付きのクルマに乗っているが、高速道路では常にON。うっかり前車との距離が縮まっても自動的に減速し、距離を一定に保ってくれるから安心。前のクルマに「あおり運転的」プレッシャーをかけることもなくなるわけだ。しかもACCを使って高速走行すると、自身の感覚では無駄なアクセル操作をせずに済むため、燃費が10%程度伸びる。つまり、ACCはいいことだらけ……ではない。
国内で搭載されるACCは地図と連動していない。なので、例えば80km/hにセットして快調に前車に追従走行していても、前車がいなくなった料金所ゲート、ICの降り口のカーブではそのまま80km/hで突っ込んでしまうのだ。当然、ヒヤリとする。危ない。もちろん、ブレーキを踏むかACCをスイッチで解除すればいいのだが、それまでの自動運転的快適度が損なわれてしまう。
「それは当然だろ」という意見があるかもしれないが、ドイツなどではACCとナビの地図が連動し、カーブなどで速度を落としてくれる制御もすでにあるのだから、日本国内でもいずれ、そうした制御を盛り込んでほしいという提言である。現時点では、ACCを任意にOFFにしなければならない場面も多々あるので、そこは要注意である。