実力を考えればもっと売れてもいいハズだが……
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員や日本自動車ジャーナリスト協会のメンバーといった、名のある一流自動車評論家やモータージャーナリストの試乗記などでは高い評価を得ているにもかかわらず、なぜか販売実績につながっていないクルマがある。自動車評価におけるプロ中のプロとマーケットが乖離しているのは何故なのだろうか。
※( )内の数値は2018年の販売台数 ※自販連調べ
1)ホンダ・フィット(90,720台)
年間の販売台数は9万台を超え、登録車のランキングでも9位につけているので、絶対的には不人気というわけではないが、かつて日本でもっとも売れたことのあるフィットというビッグネームとしては不本意という実績ではないだろうか。
その理由は、現行モデルのデビュー当初にハイブリッドシステムなどリコールが相次いだことで、ブランドイメージを落としてしまった点にあるだろう。しかし、いく度かのマイナーチェンジを経て、ハイブリッドシステムもギヤ比を変更するなど熟成が進んだ。
実際、著名自動車評論家に話をうかがうと、フィットハイブリッドの評価は高くなっている。なかには「最初から、この仕上がりだったら全然違う結果になっただろう」という声もあるほどだ。
2)SUBARUレヴォーグ(15,685台)
当初、国内専用車として登場したレヴォーグは、大きくなりすぎたレガシィのカウンターとしてSUBARU自身が用意したモデル。
300馬力の2リッターターボと、2.5リッター級のダウンサイジング版といえる1.6リッターターボという2つのエンジンを用意。レガシィツーリングワゴンGT系の後継モデルとしてスバリストからの支持を集めている。
高名なモータージャーナリストに聞いても「ハンドリング、加速性能ともにスポーツカー並で、CVTの悪癖もなく、非常に乗りやすい」といった風におおむね評価は高い。
2018年の販売台数が1.6万台弱で、前年比68.0%と売れ行きに陰りが見えている理由は思いつかないが、ある程度スバリストに行き渡ってしまったのだろうか。スバリストでなくとも、荷物が積みやすくて、走りも魅力的なレヴォーグは、もっと選択肢に入ってきてもおかしくないだけのポテンシャルを持っているはずだ。