ランエボにはGTO譲りの剛性感あるシフトフィールが感じられる
三菱ランサー・エボリューションⅨ〜Xでは5速MTモデルは1〜5速の全段がトリプルコーンシンクロで1速にはショット加工も加えて強度を上げ十勝24時間レースのゴールまで激しい操作に耐える強さに仕上がった。
ギヤを動かすシフトフォークにかかるG変化でギヤ操作性が損なわれないよう調整されたのは独・ニュルブルクリンクでの超高速テストで大きなG変化が確認されたから。シフトノブの形状やイナーシャ(慣性)も計算されてセットアップしていたものだ。同じランエボの6速MTはクロスレシオの5速MTほどの操作感ではなかったが、GTO譲りのガッチリした剛性感のあるシフトフィールには好感が得られていた。
ポルシェ911もタイプ964以後のG50型MTは、けしてショートストロークではなかったが独特なシフトフィールが他の操作系とマッチしていて操りやすく、恐ろしくシャープな吹け上がりを示す自然吸気エンジンとも大トルクのターボエンジンとも相性がよかった。
1993年に鈴鹿1000km耐久でポルシェ911RSR3.8を走らせクラス2位でフィニッシュした事があるが、シフトフィールがスタートからゴールまで変わらず安定していた。その技術はそのままロードカーにも採用されているのだから911のMTは素晴らしいわけだ。
こうしたMTの存在を知っているだけに、今新車のラインアップで買えるMTでは心がときめかない。強いて言えばスズキ・スイフトスポーツのMTは全体的なバランスがよく、ホンダ・フィットRSは剛性感のあるシフトフィールに好感が持てた。