交通環境に合わせて変わる速度リミッターも検討中
さらに速度が高いと事故の被害が大きくなりがちだ。運動エネルギーは速度の二乗で大きくなるという物理法則の基本による理由であり、いくら自動車メーカーが丈夫な車体を作ったとしても、速度が上がってしまうと設計値を超えてしまいカバーしきれない。それでもドライバーが危険なレベルで速度違反をしてしまうのは、速度を出すことのリスクを理解できていないから、というのもボルボの主張だ。
今回、速度リミッターを180km/hにすると発表することにより、そうしたリスクや速度オーバーの危険性についての議論を呼ぶことも狙いだという。
加えてテクノロジーの進化に合わせ、道路環境に応じた速度リミッターが自動的に作動する「スマートリミッター」と呼べるような技術開発についてもボルボは示唆している。学校や病院の近くを走っているときに路車間通信などを利用して、強制的な速度リミッターを作動させることのメリット・デメリットについての議論も必要となってくるだろう。
ボルボの発表ではソフトに表現しているが、ルールを決めてもドライバーに守る意思がなければナンセンスというわけだ。
そして、速度違反を常習的に行うドライバーのなかには「スピード中毒」といえる人物も存在するであろうという仮説も、ボルボがスマートリミッターを提案する理由のひとつ。違反であっても速度を出すという自由を守るべきかどうか、考えるべき時期になっているのかもしれない。