スポーツハイブリッドは3種類を設定している
先日、報告したようにホンダが「スポーツハイブリッドi-MMD テクニカルワークショップ&エクスペリエンス」というイベントをメディア向けに開催した。イベントが開催された地は静岡県・浜松。本田技研工業発祥の地といえる浜松は、ホンダの原点といえる場所だ。あえて浜松を選んだのは、ホンダ初の工場(現在のトランスミッション製造部)で生産しているハイブリッド用モーターについてアピールするためだ。イベント名からもわかるように、メインテーマは「スポーツハイブリッドi-MMD」にある。
スポーツハイブリッド・シリーズとして「i-DCD」、「i-MMD」、「SH-AWD」と3種類のシステムを用意しているホンダ。スポーツハイブリッドの展開当初は7速DCTにモーターを内蔵させた「i-DCD」が多数派だったが、2018年に登場したハイブリッドカーを並べていくと、クラリティPHEV、CR-V、インサイトといずれも2モーター式のシステムとなっている。いや、2018年のブランニューモデルがこの3モデルであるから、ホンダの新車はすべてi-MMDをベースとしたパワートレインを有しているということもできる。
もともとアコードに搭載された段階から「スポーツハイブリッドi-MMD」は高効率なシステムであることで知られていた。発電用モーターと駆動用モーターを持つハイブリッドシステムというのはホンダに限らずエンジンの高効率ゾーンを維持しやすく、なおかつホンダのエンジンの最大熱効率が40%を超えていることを考えると、世界最高レベルの効率を持つパワートレインが「スポーツハイブリッドi-MMD」といえる状況だった。
ただし、デビュー当初は性能が優れているのは認めてもコスト高なシステムという印象もあって、なかなか普及させるのは厳しかった。それが主流になりつつあるのは生産性が向上してコストダウンが進んだからでもあるが、ホンダとして電動化ロードマップにおいて「スポーツハイブリッドi-MMD」を中心に置くと決断したからともいえる。
なぜならクラリティPHEVを市販したことからもわかるように「スポーツハイブリッドi-MMD」はプラグイン車に展開するのも容易であり、中国や欧州で進む電動化トレンドに対応するのにベストソリューションといえるからだ。今回、「スポーツハイブリッドi-MMD テクニカルワークショップ&エクスペリエンス」というイベントが開かれたのも、これからのホンダ車において「スポーツハイブリッドi-MMD」がメインストリームになると宣言するためであった。
実際、次世代パワートレインのロードマップによると、2030年にはホンダ車の電動化比率は65%になっているという。そのうち50%がハイブリッドカーとPHEV、15%が電気自動車と燃料電池車になると予想されている。「i-DCD」や「SH-AWD」が消えるとは思えないが、プラグインへの展開しやすさを考えると50%のうち大半が「スポーツハイブリッドi-MMD」由来のパワートレインとなることだろう。