中国製電動タクシーが日本に上陸するかもしれない
タクシー車両としての最大のニーズは耐久性能である。クラウン系では走行距離50万kmまでは、致命的な部品交換などが発生しないように、民生版ともいえる一般のクラウンよりも耐久性能ありきで開発されていた。民生版ともいえる一般のクラウンシリーズでもハイヤーや個人タクシーなどのニーズも多いので、30万kmはらくらく走ることができるように設計されていたとのこと。
タクシー車両としてのニーズの多いクラウンは、耐久性だけでなく、自動ドアへの改造などへの対応も充実しているので、結果としてクラウンが個人タクシーでよく見かけることとなるのである。
「タクシーでも使われている」というのは、ときにはネガティブイメージに働いてしまうこともあるが、クラウンに関しては耐久性能への信頼度の現れとしてポジティブに働き、日本車のなかでも類を見ないステイタスを築きあげたといってもいいだろう。タクシーだけでなく、ハイヤーや重役用などの社有車としても活躍していたことも大きかったようだ。
クラウンコンフォートシリーズは22年間ラインアップされた。日本だけでなくシンガポールや香港などでもタクシーとして活躍していたが、JPNタクシーについては海外展開は考えていないとのこと。ちなみにシンガポールは今ではヒュンダイに取って代わっている。香港も隣の深センがBYD汽車の地元だったりするので、一気に中国メーカーのEVへタクシー車両が入れ替えられるのではないかといわれている。
日産はライトバンベースでJPNタクシーはミニバンスタイルを採用しているが、事業者や利用者のなかには、セダン型タクシーを望む声も根強い。いまは各事業者は熱心にJPNタクシーへの代替えを進めているは、やがてセダン型タクシーへの回帰が起こるかもしれないとの声がある。日韓関係の悪化が叫ばれる現状では、一般乗用車レベルでの韓国車の日本再上陸はほぼ考えられないが、それでも韓国はLPガスユニットが充実していることもあり、ヒュンダイグループなどはタクシー車両からまず日本市場への再参入を検討しているのではないかとも言われている。
セドリックがなくなり、そしてクラウンコンフォートがなくなった今の日本では、今後海外ブランドも巻き込んだ“タクシー車両戦国時代”へ突入しているといっていいだろう。今後BEV(バッテリー・エレクトリック・ビークル)への転換が急加速すれば、日系メーカーはBEVでの立ち遅れが目立っているので、おもに中国国内となるがBEVタクシーの営業実績が豊富な中国メーカーも、“まずはタクシーで”と日本市場への中国車本格参入という道を開きかねないといっても決して過言ではない。