改めて感じるクラウンの偉大さ
さて、タクシー車両の規制緩和された内容をみると、座席寸法や乗降口の大きさ、構造などがあった。とくに乗降口の大きさについては、初代マークXがデビューしたときにリヤドアの開口面積が足りず、しばらくの間は開口面積を基準に適するよう拡大する改造が行われ、やがて専用キットが用意されるに至った。
初代レクサスISもリヤドアの開口面積が基準をクリアしていなかったが、これに関しては「意図的に個人タクシー車両として使わせないようにしたのでは?」という話も出ていた。レクサスは日本国内でブランド展開するときに、ブランド車全体について「タクシーとして使わせない」ということを公言していたとされているので、そのような話になったようだ。
いまタクシー向け車両はトヨタと日産が用意しているだけであるが、過去には三菱ギャランΣベースや、マツダ・ルーチェ系をベースにした「カスタムキャブ」なども用意されていた。FR最後のコロナベースのタクシー車両では最終型において、Cピラーをわざわざ立たせて室内長を拡大するなどの大規模な改良を行ったほどだ。
タクシー車両の基準緩和後はミニバンのタクシーが目立っているが、はじめからリヤスライドドアにオートクロージャーシステムがついており、自動ドアへの改造がいらないこともあるようだ。
最後はマークIIセダンのシャシーベースで、名ばかりのクラウンともなったが、クラウンが初代デビュー登場から60年を経てもラインアップが続いているのは、タクシー車両をずっとラインアップしてきたからといっても過言ではないだろう。