リチウムイオンバッテリーはこまめに充電するのが良い
電気自動車(EV)の販売がはじまって10年近くが経つが、この間、充電について社会の注目を集めてきたのは、急速充電器の充実である。それは、ガソリンスタンドの代替と考えたからだ。しかしEV充電の基本は、家庭などでの200ボルト(V)の普通充電。それによって、燃料(電力)補充のためわざわざ時間を割いてガソリンスタンドや急速充電施設へ出向かなくても済むことを意味する。
そのことは、単に利用上の便利さだけでなく、搭載されるリチウムイオンバッテリーの長寿命化にもつながる話なのである。リチウムイオンバッテリーは、それまでのニッカド(ニッケル・カドミウム)やニッケル水素バッテリーのように、充電に際してメモリー効果がないのが特徴だ。
メモリー効果とは、バッテリーの電気を使い切る前に充電をすると、使ったところまでの容量しか使用できなくなることを指す。つまり、本来の容量100%を使えなくなってしまうということだ。したがって、やむをえず電気を使い切る前に充電したいときは、一旦、電気を使い切ってから充電することが求められ、充電器にそうした機能が設けられていた。
一方、リチウムイオンバッテリーは、電気を使い切る前に充電しても、本来の100%の容量を維持できるので、いつでも充電することができる。そこで、EVで帰宅したら充電するとか、出先でまだ電気が残っていても、仕事をしたりレストランで食事をしたりする数時間、普通充電器で少しずつ継ぎ足し充電をすることで走行距離を伸ばせるとともに、バッテリーを傷めずに済むことにもつながる。