【試乗】伝統の「8」が復活! 最上級モデルにふさわしい8シリーズクーペの圧倒的な存在感 (2/2ページ)

パフォーマンスの高さは高速域で活きてくる

 イグニッションをオンにすると、4.4リッターV8ツインターボエンジンが目覚める。メーターパネル内には液晶の速度計およびエンジン回転計が左右両サイドを基点として中央に数値が上がって行く異型デザインとなっていて、斬新さが感じられる。

 パワーユニットはN63B44D型で、最大出力は530馬力(390kW)を5500rpmで発生。最大トルクも750N・mを1800〜4600rpmで発するという強力なものだ。これを有効かつ確実に路面に伝えるため、駆動システムにはBMW独自の4輪駆動システムであるXドライブが採用されている。

M850i

 駆動力の多くを後輪寄りに配分することで後輪駆動のFRと思わせるようなハンドリングを与えつつ、滑りやすいコンディションやハイパワーを活かしたい場合はアクティブMディファレンシャルが瞬時に適切な駆動配分を行なう。トランスミッションは8速ATだ。M850i

 実際に走り始めて感じるのは、クルマの大きさを感じさせないアジリティの高い軽快さだ。前輪に245/35R20、後輪には275/30R20という超扁平かつ幅広のワイドタイヤを装着しているものの、路面のアンジュレーションによる影響を受けにくくステアリングは安定している。ただ路面の荒れた場所ではハーシュネスが固く突き上げ感を感じさせる。M850i

 M850iほどのパフォーマンスを授けられているなら舗装路を200km/hで走るときにもっとも快適に感じられるような固有振動数のサスペンション設定がされているはずで、国内の一般道では速度が低すぎるようだ。

 もちろん運転システムは最新鋭のバージョンを備え、燃費や環境性能も最新基準で示されている。アイドリングストップ機能も備わっているので旧モデルが都内でリッター5km以下の燃費だったようなことにはならないだろう。M850i

 一方、2+2とはいえ後席の居住性には難が感じられる。前席乗員が足もとをリラックスさせようとシートを後方にスライドさせると、後席足もとスペースはほぼなくなってしまう。レクサスLC500と同じような窮屈さだ。後席は緊急用と考え、ふたり乗りクーペとして割り切って付き合うほうがよさそうだ。M850iM850i


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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