フリード+のラゲッジスペース開口部地上高は驚異的な低さ
ここでシエンタ FUNBASEとフリード+の大容量コンパクトワゴンと言えるゆえんのラゲッジスペースの寸法を比較してみたい。
重い荷物の出し入れやペットの乗降にかかわるラゲッジスペースの開口部地上高はシエンタ FUNBASEが、フロアボードが樹脂面になるローデッキ状態で53cm、カーペット張りになるハイデッキ状態で61cm。一般的に使いやすいハイデッキ状態のフロアは奥行き93.5cm、最小幅106cm、最小天井高93cm。後席を格納した時の最大フロア長は162cmだ。
フリード+のラゲッジスペース開口部地上高はなんと33.5cm。これはクルマいす仕様とフロアを共用したための驚異的な低さだ。ただ、純粋なラゲッジルームの底部分の幅は意外に狭く、67cmしかない。地上72cmに位置に敷くボードを装着すると、ラゲッジルームの幅が127cmに拡大するという仕様である。フロアの奥行きは最大値で103.5cm。ボードなしの最大天井高は136cmとなる。また、後席を格納したときの最大フロア長は1600~1890mmまで拡大し、大柄な人でも車中泊が楽々行える空間が出現する。
ちなみに、2列シート、3列シートに限らず、シートアレンジが楽なのは、片手でポンの操作が自慢のシエンタ、シエンタ FUNBASEのほうだ。
ただし、走行性能となると話は別。フリードはタイヤサイズが15インチ1種類で、最小回転半径は全車、小回り性に優れる5.2m。乗り心地はやや固めながら、走りの質感、動的性能で上まわる印象だ。
一方、シエンタ 、シエンタ FUNBASEの最小回転半径は標準の15インチタイヤなら5.2mだが、乗り心地ががぜん良くなる、オプションの新開発16インチタイヤ&アルミホイールを履くと、一気に5.8mと大型ミニバン並みになってしまうのが難点。開発当初、16インチを想定していなかったのが、その理由のはずである。
両車、それぞれの選択は家族構成、ペットの有無、よく載せる荷物の大きさなどによるが、6人乗車までがメインというならフリードの6人乗り(2列目キャプテンシート)、大容量コンパクトワゴンとして選ぶならシエンタ FUNBASEがベターだろう。ハイブリッドかガソリン車かは予算によるが、多人数乗車が基本なら、動力性能に余裕が出るハイブリッドを薦める。車内の静かさ、燃費性能で上回るからである。もし、コンパクトミニバンに7人乗せようと思っているなら、乗車空間や動力性能を考慮し、トヨタ・ヴォクシー&ノアやホンダ・ステップワゴンを考えるべきである。