この記事をまとめると
■5ドアのコンパクトカーやSUVなどはファミリーカーとして認識されることが多い
■だが中にはリヤシートが狭く3人以上での移動で不自由を強いられるクルマが存在する
■そうしたモデル5台と筆者が実測した後席の寸法を伝える
一見ファミリー向けだが後席での長時間移動が厳しいモデルも存在
国産コンパクトカーの室内空間は優れたパッケージング技術によって、ボディサイズからは想像もできないほど広かったりする。それこそ軽自動車の後席でさえ、容量系、ハイト系なら、大型セダン、Mクラスボックス型ミニバン並み、いや、それ以上に広々している。
ところが、その上のクラスの登録車、コンパクトカーでも「前席優先パッケージ」と称して、後席の広さにこだわらないクルマがある。ここでは、ファミリーカーのようなのに、後席が狭めなクルマたちを紹介したい。
モータージャーナリスト歴30年以上の自身のこれまでの経験からすれば、身長172cmのボクが運転席でドライビングポジションを決め、その背後に座って、頭上10cm、ひざ回り12cm以下のスペースしかないと、ボクの感覚では「狭い」と感じる(個人の感想です)。もちろんそれは、運転手の体形、どんなドライビングポジションをとるかで変わってはくるが、以下の頭上、ひざ回りスペースは、ボクの体形を基準とした数値として参考にしていただきたい。ちなみに後席ひざ回り空間の10cmとは、成人男子の握りこぶしひとつ強である。
1)日産ジューク
デザイン重視のクーペライクなクロスオーバーモデルだけに、後席のスペースは二の次で、頭上8cm、ひざ回り11cmでしかない。その数値だけだとピンとこないかもしれないので、ライバルのホンダ・ヴェゼルの数値を記すと、頭上13cmはともかく、ひざ回りは25cmと圧倒的だ。
2)マツダ・デミオ
マツダ・デミオはCX-3同様、前席優先のカップルズカー、パーソナルカーである。ゆえに後席は子供の乗車場所、あるいは荷物の置き場というイメージ。後席のスペースは頭上10cm、ひざ回り10.5cm。例えばライバル車のホンダ・フィットはセンタータンクレイアウトによる低床&魔法のパッケージによって、同14cm、26.5cmもあるから驚くしかない。後席の乗降のしやすさにしても、大きく違うのである。
3)トヨタ・アクア
HV専用車であり、燃費の良さで売れに売れているアクアだが、そもそも後席を重視するならトヨタ・プリウスがあり、こちらは前席優先のパーソナルカー的キャラクター。頭上は10cmとギリギリだが、ひざ回りスペースはスズキ・スイフトと同等の16cmとまずまず。しかし、ホンダ・フィットのひざ回り26.5cm、トヨタ・ルーミー&タンク、ダイハツ・トールの38.5cmあたりと比べると、かなり狭く感じるはずだ。