レーシングカーのように9000rpm回るユニットが公道で味わえる
最近では小排気量エンジンにターボやスーパーチャージャーといった過給機を組み合わせ、低回転からフラットなトルクを発生させるタイプのエンジンが増えてきている。これは街乗りをする上では非常に乗りやすい素晴らしい味付けであることは間違いないが、クルマ好きとしては回転を上げるごとに盛り上がる高回転を許容するNAエンジンというのも捨てがたいところ。
とはいえ、近年ではエミッションの問題はもちろん、趣味性の高いクルマがなかなか売れないという事実もあってそういったエンジンを搭載する車両はほとんど見ることができない。しかし、幸いなことにまだまだ中古車市場にはそういった官能的なNAエンジンを搭載した車両が流通している。そこで今回は独断と偏見で至高のNAエンジンを搭載した車両をご紹介したい。
1)ホンダS2000
(F20C型エンジン)
現在はダウンサイジングターボやハイブリッドモデルがラインアップの中心となっているホンダではあるが、やはりクルマ好きの脳裏には高回転を許容するVTECエンジンが強烈に印象に残っているハズ。
シビックやインテグラに搭載されていたB16AやB18Cなども名機と言えるものだが、やはりホンダの高回転型VTECエンジンと言えば、1999年にデビューしたS2000に搭載されたF20C型エンジンだろう。れっきとした量産車であるS2000に搭載されたF20Cエンジンだが、その許容回転数は9000回転であり、最高出力も8300回転で発生するというもはやレーシングエンジンと言ってもいいレベルだった。
2005年のマイナーチェンジで排気量を拡大したF22Cエンジンとなり、乗用回転域でのトルクアップがなされたが、9000回転まで回る前期型を好むファンも少なくない。
2)トヨタ・セリカ/カローラ/ヴォルツ/WiLL VS
(2ZZ-GE型エンジン)
トヨタの高回転型NAエンジンと言えば、一昔前はAE86に搭載されて登場となった4A-Gエンジンが筆頭だった。そして1.6リッターの4A-Gと2リッターの3S-Gエンジンの後継として登場したのが、1999年に登場した7代目セリカに初めて搭載された1.8リッターの2ZZ-GEエンジンだ。
ベースとなったのはビスタやプレミオ/アリオンなどに搭載された1ZZ-FEエンジンだが、ヤマハ発動機の手によってスポーツエンジンへと生まれ変わっている。レッドゾーンは7800回転からで最高出力の190馬力は7600回転で発生する高回転型エンジンだ。
このエンジンはセリカだけでなく、カローラ(フィールダー、ランクス)やヴォルツといったほかのトヨタ車だけでなく、ロータスエリーゼやエキシージにも搭載されたといえばそのポテンシャルがわかるだろう。