フルモデルチェンジ並の改良が施された
2007年のデビュー以来、12年ぶりの、ほぼフルチェンジと呼んでいいビッグチェンジを行ったデリカD:5。従来型のユーザーの不満点だった質感と先進安全予防技術の進化に加え、走行性能にかかわるすべてに手を入れた新型である。
エクステリアは前後を一新。賛否両論あるフロントフェースだが、むしろ今風の迫力を持った……とも言えるだろう。多くの否論者に、見ているうちになれてきた……という意見がある。
それはともかく、乗って、走れば新型らしさ満載だ。ミニバンらしい高めでアップライトな着座位置となる運転席に収まれば、ソフトパッドを使ったインパネが一新されたことが分かる。インテリアの質感は、シート地を含め、大きく高まっている。とくにナビ画面は10.1型となり、新しさを伝えてくる部分。
新型は全車2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジンを採用。駆動方式も三菱自慢の新制御4WDに統一(前型の、ガソリン車&2WDも併売)。ATは燃費とスムースな変速を可能にする、新開発のワイドレンジなスポーツモード付き8速ATとなり、電動化されたパワーステアリング、走行性能と乗り心地を高めた、リヤダンパーを大径化したサスペンション、フロントウインドウの遮音ガラスやフロアカーペットを含めた入念な遮音・吸音対策まで施されているのだから、ほぼフルチェンジに近い進化ぶりというわけだ。
さらに先進安全予防技術として、前型になかったe-Assistを新装備。自動ブレーキはもちろん、渋滞追従機能付きACC、ブラインドスポットモニター、後退時車両検知警報システム、マルチアラウンドビューモニターまで含まれるのだから完璧だ(一部OP)。
ちなみに最低地上高が210mmから185mmとなっているが、ボディフロントセクションのデザイン変更によってアプローチアングルこそ24度から21度にダウンしているものの、エンジンマウントの変更に伴う、計測方法の違いの数値であり、悪路での走破性に大きな違いはない……というのが三菱の見解だ。そもそも、ミニバンでデリカD:5のような、本格SUV並みの走破性を持つクルマはほかに存在しない。唯一無二の、ミニバンの皮をかぶった本格SUVという立ち位置は不変である。
36.7kg-mから38.7kg-mまでトルクアップしたエンジン、新開発8速ATの採用などにより、燃費性能も向上。JC08モードで比較すれば、13.0km/Lから13.6km/Lになっている。実燃費に近いWLTCモードでは12.6km/Lとなる。