アメリカは高速道路での事故が一向に減らない
なぜ、アメリカの高速道路の制限速度は、日本人がイメージするほど高くないのか? その理由は、高速道路での事故がまったく減らず、死亡者数も減らないからだ。アメリカの交通事故による死亡者数は、ここ数年で3万人強のまま。一方、日本の交通事故による死亡者数がは年々減少して、最悪期の1万6000人から4000人を切るまでになっている。
どうして、そうなってしまうのか? なにせ、アメリカ人は運転が荒く、でっかいSUVやピックアップトラックでガンガンに飛ばす人が多い。だから事故は減らない。
また、一般道路では時速50マイル(80km)規制が多く、ここでも飛ばす人が多い。テキサスなど中西部では、交差点の右左折や車線変更時にウインカーを出さない人もけっこういるなどマナーも悪い。
つまり、アメリカの制限速度が低いのは、悪質ドライバーを考慮した交通事故に対する抑制なのだ。それでも、2000年代になってから、55マイル規制から60、65、70、そして75マイルと一部のフリーウェイでは段階的に制限速度は上がっていった。こうした動き対して、「そんなことしていいのか!? 事故が減っていないのに」という反対意見も当然ある。
さらにいえば、オバマ政権の頃、アメリカの運輸省は「交通事故死亡者数を減らすため、アメリカは積極的に自動運転を普及させる」としていた。だが、トランプ政権になってから、そうしたムードにかげりが見えてきている。
自由奔放がウリのアメリカでは、ドライバーの自主規制を第一に考えるアウトバーンは実現しない。