ランエボに続いて欧州車がWRXに宣戦布告か!? 最近2Lターボ4WDの輸入車が増えるワケ (1/2ページ)

ダウンサイジングターボの流行が2リッターターボ車を生み出す

最近、2リッターターボエンジンを積んだ輸入車のハイパフォーマンスカーが増えている印象がある。たとえばフォルクスワーゲン・ゴルフRやアルテオン、メルセデスA45 AMGなどは2リッター4気筒ターボエンジンと4WDを組み合わせている。

まさに、かつてランサーエボリューションやインプレッサWRX(現在はWRXと独立した)といった2リッターターボ+4WDというパワートレインのパッケージと通じるところがある。果たして、ドイツ勢のトレンドはランエボ・インプのフォロワーなのか。それとも、合理的な狙いがあるのだろうか。

2リッター以下の排気量にすることで自動車税に旨味があるのが日本の税制だが、グローバル展開をしている輸入車が日本ローカルの事情を考慮して2リッターターボエンジンを増やしているわけはない。2リッターという排気量のターボエンジンが増えている背景には、欧州での「ダウンサイジングターボ」トレンドがあると考えるのが妥当だ。

そもそもダウンサイジングターボのメリットは、ターボという排気エネルギーの再活用システムによる熱効率の良さと、レスシリンダー化による軽量化・フリクションの低減にある。フォルクスワーゲンでいえば、狭角V6エンジンを4気筒ターボに置き換えることは、まさにダウンサイジングターボの正しい使い方といえる。そしてV6エンジンが3リッター級だったことを考えると、同等以上のパワーとトルクを実現するには2リッターという排気量が導き出されるのも自然な話だ。

では、なぜ2リッターという排気量に帰結するのだろうか。ここでヒントになるのは「モジュラーデザイン」という設計思想だ。エンジンでいえば異なる排気量であっても共通パーツを増やすことでコストダウンを図ることがモジュラーデザインとなる。

具体的にはピストンを共通化して、気筒数で排気量のバリエーションをラインナップするようにしたい。ピストンを共通にするということは燃焼室設計も共有するという意味だ。高い熱効率を求められる現代のエンジンにとって燃焼室のシミュレーションは時間をかける工程だが、そうした開発コストも共通化できるのがモジュラーデザインなのである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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