走りや安全性の追求が車両価格を上げる
最近、よく耳にするのが、「最近のクルマは高い」ということ。実際、15年ぐらい前であれば200万円台で買えたクルマが、300万円台は軽く突破している例はザラ。軽自動車でも200万円近くするので、以前に比べれば確実に高くなっている。と、高い、高いと言うのはいいのだが、ではどうして高くなっているのか考えたことはあるだろうか? 漠然と材料費が高騰しているのかな、程度かもしれないが、じつはさまざまな要素が関係している。
もちろん材料費は大いに関係する。クルマに使われる素材は鉄、樹脂、ゴムなど多岐にわたっていて、そのどれもが高騰中だ。これはクルマに限らず、食品やお菓子、衣料品なども同様で、素材自体が上がっているだけでなく、話題になった運送費も上がっている。それらが、素材価格にも跳ね返ってくるわけだ。
また走りの質は以前に比べれば飛躍的に上がっているが、こちらもいい素材が前提だったりする。ハイテンション、ウルトラハイテンションは当然普通の鋼板よりも高いし、足まわりなどで増えているアルミは、鉄なんかよりもかなり高い。単純に比較はできないが、びっくりするほどの価格差だし、日本は高くて、欧州のほうが安いのも国内生産ではハンデとなる。
そして開発コストも増大するばかりだ。各社ともデジタルシミュレーションでの開発や短期化、パーツの共有化、生産現場でもモジュール化によって効率のアップを目指すなど、涙ぐましい努力が続けられているが、それ以上に立ちはだかる課題は多いのが実際。とくに燃費は爪に火を灯す思いだし、高いレベルの安全技術や自動運転技術となると、開発コストは膨大。今まで使わなかったパーツも使用しなくてはならない。もちろんそれらは車両価格に上乗せされる。