すべての乗員が感じられる心地よさと使いやすさを
高い機能性と美しさの両立、そして上質感の追求は、インテリアでも貫かれている。デザインキーワードは、「HORIZONTAL AXIS & Gentle feel」。
水平基調のインパネは、空間に解放感をもたらすだけでなく、悪路などでも車体姿勢をつかみやすくするためのデザイン。圧倒的な存在感を放つ10.1インチの大型ナビゲーション画面を備えながら、センターコンソールに機能部品を視覚的にもわかりやすくレイアウト。強い存在感のパーツをちりばめながら、全体として上質かつシンプルな印象に仕上げている。インテリアデザイン担当の唐笠眞次さんは次のように語る。
「大きなナビ画面でありながら、頭でっかちな印象にならないよう、細かな修正を何度も重ねてバランスを取りました。レバー類なども使いやすさや握りやすさなど、触感からも上質感や力強さが伝わるようにデザインしています。また、乗員が触れる部分や、ウォークスルーなどの動線上に、上質なソフトパッドをふんだんに使用したことも新型のインテリアの特徴です」
1stスケッチ
従来モデルの機能性や道具感といった魅力に加え、高い質感や後席の快適性も強く意識してアイディア展開。新デザイン哲学のモチーフ「ホリゾンタルアクシス」も盛り込まれている。
方向性決定のためのモデル
操作系を囲むシルバーメッキの検証をはじめ、質感向上に向けたさまざまなトライや検討を実施。新型にもっともふさわしい質感や高級感がどんなものかを、徹底的に模索した。
ファイナルレンダリング
薄い形状や、ピークラインをできるだけ上げ、可能な限り前傾させることで高い解放感を狙ったインパネは、張りがある断面形状を持たせることで、乗員が守られる安心感も両立する。
カラーデザイナーの越山明日香さんにもうかがった。
「その素材の違いが見た目でも感じられる形状にも注力しました。たとえばアルミなら、アルミだからこその曲がり方があるんです。今回はオーナメントパネルにサバ杢という特徴的な立体木目を採用しているんですが、このパネルの断面なども、木という素材が感じられる丸みになるよう、何度も修正を行なっています」
視覚からも触覚からも感じられる上質感は、前席だけでなく、フロントまわりと調和させた加飾パネルや、ゆったりとした肩幅と厚みのあるヘッドレストを備えたシートなどにより、2列目でもしっかりと感じ取ることができる。また、スマホ置き場やUSBソケット、さらに充実した収納類など、使い勝手が進化したユーティリティも見逃せない。従来のデリカD:5は、どちらかと言えばドライバーにプライオリティが感じられるインテリアだったが、新型は乗車するひとりひとりが心地よさを感じられるデザインと言えるだろう。
「そうおっしゃっていただけるとうれしいですね。われわれデザインチームは、三菱自動車がこれまでに培ってきた四輪駆動の力強さと、上質で使いやすい居住空間をしっかり受け継いだデザインを実現することで、デリカの魅力をより広げていきたいと考えながら開発に取り組みました。これまでにないモダンさが加わった新型を、見るだけでなく、ぜひ一度、販売店で触れて体感していただきたいです」
そう笑顔を見せてくれた松延さん。その表情は、新型デリカD:5への自信の表れに違いない。
ファイナルモデル
ドアを開けた瞬間に乗員にうれしい驚きをもたらす大画面パネルを中心に、操作系の直感的な使いやすさや見やすさを意識して構成されたインテリア。質感の向上にも注目したい。