専用パーツやボディ色を用意したモデルも
自動車の世界でOEMといえば、自社のラインナップにない車種を協力関係のある他メーカーから供給してもらって補完するという役割が主だ。90年代にはRV車を持たなかったホンダが、いすゞからミューやビッグホーン、ランドローバー社からはディスカバリーのOEM供給を受けていたのも知られるところだろう。
基本的には穴を埋めるための車種なので、それほど積極的な販売をしないものではあるが、販売チャネルの差によって本家よりも多い販売台数を記録してしまった車種も存在しているのである。
1)トヨタ・デュエット
スターレットがヴィッツとなり、ターセル/コルサ/カローラIIが廃止になったことで、トヨタのコンパクトカーのボトムラインを担う存在として、ダイハツ ストーリアのOEM車として供給を受け、約半年遅れの1998年9月に登場したのがデュエットだ。当初は3気筒の1リッターエンジンのみのラインナップだが、2000年のマイナーチェンジで1.3リッターも追加されている。
モータースポーツベース車のX4こそストーリアのみの設定だったが、量販グレードには実質的な違いはほとんどなく、販売力の勝るトヨタブランドのデュエットの方が販売台数で上回っていたのである。なお、後継車種のパッソ/ブーンは2代目まではダイハツとトヨタの共同開発という形がとられており、厳密にはOEM車ではない。
2)日産モコ
OEM車となると多くがエンブレムのみを差し替えて販売しているなかで、外観を一目で日産車だと分かるように手を加えていたのが日産モコだった。
とくに2006年に登場した2代目モデルは、ヘッドライト・グリル・ボンネット・バンパーすべてが専用品となっており、同時期の日産のコンパクトカーであるマーチやノートと同様のウインググリルとしていた。
さらに専用ボディカラーや専用シート表皮など、ベースとなったMRワゴンとはかなりの部分で差異を付けており、当時の日産の軽自動車販売に対する意気込みが伝わってくるようだ。なお、現在は三菱と共同開発しているデイズ/ekのほか、スズキからはエブリイがOEM供給されているが、こちらはエンブレムのみの違いとなっている。