高剛性ボディが衝突安全性能と優れたハンドリング性能をもたらす
マイナーチェンジでフロントデザインが変更されたことに伴い、ボディ各部にも手が加えられた。
基本骨格は従来車のものを引き継いでいるが、Aピラーより前側は、サイドメンバーやバンパービームの変更または追加により、衝突安全性能と歩行者保護性能を高めている。ボディ全長は従来車に比べて10mm大きくなっているが、これは主にフロントの延長分。延長によりエンジンルームの曲げ/ねじり剛性が低下し、車両の応答性にも影響を与えるため、衝突安全性能を確保しつつ、カウルトップ(フロント上部)を含めた操安剛性を高め、リニアな操舵感を実現した。
新型デリカD:5は、オールラウンドミニバンとしての質感向上のため、快適な室内空間の実現を目指し、静粛性が大幅に高められている。ディーゼルエンジン車特有の騒音や振動が発生することから、その特性に合わせた静音・制振対策が行なわれている。まず、ボディの外側から入ってくる騒音を抑えるため、フロントガラスには遮音ガラスを採用。そのほか、エンジンに近いフロントフェンダーやダッシュパネルに遮音材・制振材を配置。さらに、室内の音に関しては、ヘッドライニングやフロアサイレンサーで吸音することで反響音の発生を抑制し、室内全体の静粛性を高めている。
デュアルピニオンタイプの電動パワーステアリングを採用。操舵力が小さく低速走行時の取りまわしが軽快になった。タイヤに近い位置にモーターを配置することでステアリング機構全体の剛性を高め、ダイレクト感を向上。
フロントデザインの変更に合わせ、歩行者保護対応のため、エンジンルームまわりのボンネットやフレームなど構造材の仕様を変更。エンジンルームの空間を拡大し、歩行者保護(脚部性能)も向上させている。
フロント部分の構造変更は、衝突安全性だけでなく、操縦安定性も向上させた。バーやビームなどの形状を最適化し、溶接位置を工夫することで、重量を大きく変えずに動的剛性を向上させている。これによりリニアな操縦感を実現。
エクステリア全体のデザイン変更に合わせて樹脂製ガーニッシュを大型化したテールゲートは、パネル自体の板厚を低減している。ボディの高剛性化で衝突安全性能を向上させているが、必要なところでは軽量化を図っている。