課題の80Rを全開でいくにはリスクが高すぎた
ピット前のストレートエンドでは190Km/h近いトップスピード。フルブレーキから3速にシフトダウン。ステアリングを切り込み、第一コーナーにアプローチしてから3→2速にダウンする。ステアリングの舵角が与えられたときに、ブレーキを強く踏むと、ABSはリヤブレーキの液圧を下げてしまい、ブレーキの利きが悪くなる(滑りやすい路面だと誤判定)。GT-Rの癖を知っているので、その問題がでないようにステアリングとブレーキを調整する。
次は第一ヘアピンだ。ここでは自分のスタイルを変えて走る。つまり、第一ヘアピンでは、ラリーのようにちょっとフェイントを使ってターンするとノーズの入りがよくなるのだ。アプローチが緩いS字になっているので、走行ラインを変えると、ラリーテクが使える。フェイント気味にターンインすると、クリッピングポイントの姿勢がよりニュートラルとなるので、アクセルを早く開けることができた。R32GT-Rから続いてきた完成度の高いAWDシステムのおかげで、プッシュアンダーステアが少ない。エンジンパワーが無駄なく路面に伝わり、ステアリングがニュートラルな状態でコーナーを立ち上がることができた。
課題となっているダンロップからの左80R。根性を決めて80Rをフルスロットルで駆け抜けることができれば、1分は切れるだろう。前回のテストで得られたデータを分析した日産自動車の技術者は、そう分析していた。しかし、どう走っても、アクセルを全開にすると、プッシュアンダーがでてしまう。今回は使い古したタイヤだったので、リスクが高かった。アウト側もイン側もエスケープゾーンはほとんどない。ここでは車速は160km/hを超えている。
第二ヘアピンをスムースに立ち上がるとバックストレートだ。ここではどこまでアクセルを踏み続けることができるのか、という我慢くらべ。バックストレートエンドはメーター読みで210km/hを超えている。もちろんブレーキングするが、ステアリングとの調和がポイント。その理由は第一コーナーと同じだ。最終コーナーは難しい。というのは、徐々に曲率が小さくなり、出口のほうがタイトだからだ。ここでもアンダーステアはタイムロスとなるので、姿勢が重要なのだ。
R32GT-Rから数えると三十年近くGT-Rのハンドリングを付き合ってきたが、そのパフォーマンスは一歩一歩進化してきたが、R35によって世界と戦えるスーパーGTカーに大きくジャンプアップしたことは間違いない。