ドイツ勢が苦戦するなかアルファロメオやプジョーなどが善戦
そうした輸入車の中心といえば、「ジャーマンスリー」、「ドイツ御三家」などと呼ばれるブランドを思い浮かべるのではないでしょうか。2018年のランキングでいえば1位がメルセデス・ベンツ(6万7554台)、2位がフォルクスワーゲン(5万1961台)、3位にBMW(5万982台)と、まさしくジャーマンスリーが独占しています。それに続くのがアウディ(2万6473台)、BMWミニ(2万5984台)といった状況です。
しかし、それぞれ前年比を見るとジャーマンスリーは盤石とはいえません。プレミアムブランドながら販売好調なメルセデス・ベンツにしても前年比99.0%と頭打ちになっていることを感じさせます。ディーゼルゲートで2015年に販売台数を落としたフォルクスワーゲンは前年比106.0%となっていますが、BMWは同97.1%、アウディに至っては93.4%と減少傾向が見て取れるのです。
では、どのようなブランドが伸びているのかといえば、イタフラ系ブランド(イタリア・フランス)が目立っています。2018年の数字を見ていると目立っているのはジープ(1万1438台・前年比113.2%)、プジョー(9881台・前年比119.9%)、シトロエン(3564台・前年比113.1%)、アルファロメオ(2510台・前年比136.6%)といったところがシェアを増やしています。
多様性という言葉を見かけることが増えている昨今ですが、輸入車においても定番から多様化へとトレンドがシフトしているようです。もともと「他人と違うクルマに乗りたい」というマインドが輸入車を支えているという見方もありますが、定番となったブランドは差別化できづらくなり、どこかで頭打ちになるのは仕方がないのかもしれません。
輸入車が趣味性で選ばれているとすれば、まだまだ日本市場は、実用性という点では日本車にアドバンテージがあると判断していることになります。とはいえ、耐久性や利便性、そしてコストパフォーマンスといった実用面で日本車に匹敵する輸入車も増えてきています。趣味性というフィルターを外して輸入車と日本車が比較される時代は、遠からずやって来るのではないでしょうか。
※輸入車の販売データはJAIA調べ。登録車の販売データは自販連調べ