もともと6車線で設計された区間のため拡幅は容易
昨年8月、新東名の御殿場-浜松いなさ間が6車線化されることが決まった。国交相は実現の時期を「おおむね2年後」と語ったので、来年の夏までには完成するだろう。
WEB CARTOP編集部ハラダは、「大和トンネルのように大渋滞を引き起こしている箇所でもないのに、なぜ6車線化するんでしょうか? やっぱり莫大な費用がかかるんでしょう?」と、素朴な疑問を投げかけてきた。
経緯を説明すると、新東名はもともと、前線6車線(片側3車線)で計画されていたが、01年からの道路公団民営化議論のなかで、建設費縮減のため暫定4車線とすることが決定した。
当時大マスコミはこぞって、「第二東名は戦艦大和並みのムダ」などと報じ、建設中止を主張していたので、個人的には建設が続行されただけでも御の字であった。
ただ、すでに着工していた御殿場-浜松いなさ間145kmに関しては、すでに6車線設計での工事契約が完了していたため、トンネルや橋梁をはじめとする基本構造は6車線のまま建設が続行され、それをわざわざ4車線に狭めることになった。
ただし、145kmのうち55kmの区間は、「付加車線」という名目で、実質的に6車線運用している――というのが現状だ。
今回6車線化が決定したのは、その、もともと6車線で建設された区間なので、拡幅は非常に容易だ。なにしろトンネルも橋も土工部も、すべて6車線の幅が取ってある。それをわざわざプラスティックポールを立てるなどして狭くしているだけだから、基本的には、それら邪魔なものを撤去して最終舗装を施し、区画線を引き直せば完成だ。
私は以前から、「せっかく6車線で建設した御殿場-浜松いなさ間は、ぜひ全区間6車線化してほしい」と書いてきたが、それが実現することになったわけで、じつに喜ばしい。
事業費は900億円が予定されている。900億円というと、ものすごい金額に感じるかもしれないが、この区間の全体事業費は2兆6000億円。わずかな投資で全線6車線化できるのだから、いままでやらなかったほうがバカである。