ライバルを挙げるなら他メーカーのクルマではなく同一車!
4)短期ローンで値引きアップをねらう
「ローンを利用すると値引きがアップする」という話があるが、これは真実である。ディーラーが扱うローン(ディーラーローン)とは、ディーラーは提携している信販会社(いまはメーカー系がメイン)のローン利用を勧め、お客がローンを利用すると支払回数などにより、それぞれ提携信販会社からバックマージンがもらえ、その一部が値引きアップに充当されるのである。だからといって現金一括で買おうと思っていたのに、ローンを組めば金利が発生するので、絶対得するというわけでもない。
ただ日産系ディーラーなどで目立つのだが、現金一括払いのお客に「値引きアップになるから」と半年(6回払い)や1年(12回払い)といった短期間のローンを組んでもらうケースが目立っている。大昔に比べればディーラーローンも金利がだいぶ下がったので、割賦元金にもよるが金利負担が数千円というケースもあるようなので、結構応じているひとも目立っている。
このやり方(値引きアップ術)は大昔からあるもので、金利が高いころは支払い開始でいきなり完済してしまうといったパターンもあったと聞く。もしセールスマンに短期ローンの利用を勧められたら、値引きアップ分と金利負担をよく比べて損得を判断して欲しい。
5)中古車という選択肢
最近新車ディーラーでは中古車の販売を強化している。そうはいっても、もともと新車販売のためのショールームに中古車展示場を併設して中古車を販売してきたのに、何をいまさらと感じるひとも多いだろう。最近の特徴としては、中古車展示場を持たない店舗でも新車展示場や駐車場の一部に中古車を置くようになったのである。
もちろん、世間一般の認識のような、数年落ちの中古車もあるが、なかには初度登録して半年ほど経過して、走行距離が6000㎞未満といった“なんちゃって未使用中古車”のようなものが展示されることがある。これはディーラーが試乗車などとして、自社登録し社有車として使っていたものとなる。再販を前提としているので、車内禁煙など厳しい条件下で使用してきたので程度は良好。さらに試乗車などとして自社登録すると、かなり割安に購入することができることもあり、結構魅力的な値付けがなされていることも多い。仮に新車購入のための商談でなかなか希望予算との折り合いがつかないなか、同型車の“なんちゃって未使用中古車”を勧めたところ、すんなり契約が決まったというケースも多いようだ。「新車で話がまとまらず他メーカーに流れるよりはマシ」とディーラーサイドも考えているようだ。
この“なんちゃって未使用中古車”は不人気車や在庫がダブつき気味といった“訳あり車”ばかりでもないので、セールスマンが勧めてきたら検討してみる価値はあるだろう。なかには割安で購入することを目的に“展示車を購入したい”といってくるお客もいるとのことである。
6)ライバルをぶつけるよりは同士競合が有効
かつてはトヨタ・カローラvs日産サニーといった、メーカー間でキャラの被る車種同士で値引きを競わせるのはかなり有効とされてきたが、最近ではキャラの被るライバル車関係があるのは、軽自動車、コンパクトカー、ミニバンぐらいで、ライバル同士を競わせてもなかなか値引きアップにつながらないケースも目立っている。
そのような状況になった背景には、まずトヨタではプリウスのように4つある販売チャンネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)すべてで扱う“併売車”が増えていることがある。そのためトヨタの全系列扱い車が購入本命車の場合には、4つのトヨタディーラーを競わせるだけでも、十分な値引き条件を引き出すことが可能となり、他車を競わせるまでもなくなっていることがある。
ノア/ヴォクシー/エスクァイアのように兄弟車同士だけでの交渉や、トヨタディーラーは複数の異なる資本の店舗が存在する地域もあるので、カローラ店とネッツ店では扱い車すべてを競り合わすことも可能。さらにトヨタ以外のメーカー系ディーラーではすべての店舗ですべてのクルマを扱っている。
看板などのデザインは統一されているのだが、たとえば日産では一部地域を除き日産店、プリンス店、サティオ店とわかれていたり、ホンダでは同じ地域内に複数の異なる資本のディーラーが存在するので、トヨタ同様に同一車同士での値引き競合が可能となっている。このように多くのメーカー系ディーラーで同士競合が可能となっていることもあり、ライバル同士を競合させても効果が期待できなくなってきているのである。
まったく同じクルマ同士で値引きを競わせるのだから、商談では値引き交渉に集中できるわけだし、セールスマンもそこだけを気にすればいいということになる。ただし同じ資本のディーラーでありながら、異なる店舗(会社が同じである営業所)同士を競わせるというのはNGなので気を付けていただきたい。いまは見積書をパソコンで作成するので、そのデータ保管も可能となっている。妙に自宅から距離のある店舗へきているお客ならば、「なぜ当店にきたのですか?」と聞きながら、他店舗で商談が進行していないかもチェックされている。そのため同じ資本のディーラーの異なる店舗同士で値引きを競わせているとわかると、店舗同士で情報交換をして値引き拡大を抑制されてしまうので、効果がないどころかマイナスとなるので注意してもらいたい。