どんな雪もガンガン走れるわけではない
クロスクライメートの試乗は、ドライとウエットのハンドリングコースとバンク付き高速周回路も設定された。が、あえてバンクには登らず下段のフラットな高速コーナーで舵角に対する挙動変化を探ると、柔らかさは感じられるが、不安定要素はないと言い切れる。
ダブルレーンチェンジを含むスラロームの連続で、ミシュランの低燃費系スタンダード夏タイヤ、エナジーセーバー+と比較試乗。ドライ路面のテストで、路面との確かな手応えと、高速旋回でも捻れやヨレ感の少ない安定性の高さ。乗り味の滑らかさでもクロスクライメートが存在感を示す。
高速直進性はテスト車輌すべてで中立の収まりの確かさとステア操作に対する自然な応答性がまずはいい。Wレーンチェンジは速度を上げて隣のレーンにクイックなステア操作で移動。グリップ感確かに応答し、元の車線に戻った瞬間のタイヤの撓み、捻れからの収束=ダンピング特性に優れている点もエナジーセーバー+と遜色ない。
違いはヘアピンなどで舵角が増える旋回中に、クロスクライメートはパターンノイズが増加する傾向にあるが、測定値ではエナジーセーバー+よりも静粛性は高いという。
本来はドライのハズのハンドリングコースは、朝まで降った雨が残りウエット状態。テスト車のVWゴルフ、トヨタC-HRともに道幅狭いハンドリングコースを高い速度で縦横無尽に走り回れる点に正直驚いた。
要はトレース性に優れているのだが、その訳のひとつにゴルフは、アンダーステア対策のブレーキベクタリング、トヨタも旋回中にリヤ内輪を掛けて舵角通りのトレース性を確保する車輌安定制御が活きる。そこは制御OFFしても介入するため、両車の制御方法の違いが興味深い。
ゴルフは曲げる方向の前輪にブレーキ制御してスムースに曲げる。一方C-HRはリヤ内輪にブレーキ力を与えるが、旋回Gで内輪の接地が浮き気味になるためか、断続的にブレーキが介入する振動が伝わる。
と、FF 2BOXの世界規準車であるゴルフとコンパクトSUVのハンドリングカーC-HRを攻め立てる気にさせるグリップ力と操縦性に、一体どういうタイヤなのか個性が判らなくなるが、ともかくこの運動性の確かさと、さらに耐摩耗性まで優れているという。
ウエットブレーキの比較テストはセレナにエナジーセーバー+を装着して、クロスクライメートと勝負!! ところがここでも、明らかにクルマの全長から半分程度短い制動距離で停止する事実を何度も確認。何故エナジーセーバー+との比較なのかは聞き忘れたが、実際にクロスクライメートが上回った。
サイズは14〜20インチまで先行販売の21サイズにプラスして、今後は全78サイズまで豊富に揃うという。交換する手間が省け、外したタイヤの置き場に困らず、突発的な雪にも対応でき、スノーマーク入りだから高速のチェーン規制でも通行可能!! 一年中装着したままで良いのだから、試す価値は十分にあると思う。