光岡のラインアップでも異彩を放つ力の入れ方
試乗の途中で立ち寄った東京湾岸沿いのパーキングで、あらためてロックスターが振りまくオーラの確かさに気がついた。この日はけしてロックスターらしい晴れやかなロケ美ではなかったけれど、そのカリフォルニアブルーと名付けられたボディカラーはひときわ輝いていたし、そもそもC2コルベットを彷彿させる個性的フォルムが、人の目を引きつけていたのだ。
ロックスターは、光岡自動車が創業50年を記念して企画されたモデルである。「ビュート」や「ヒミコ」といった量産モデルとは違って、限定車としての販売である。
力の入れ方も、随分と異なる。光岡自動車はメーカーとして認知されてはいるものの、ベースモデルはたの大メーカーから調達するという形態である。光岡はエクステリアをがらりと変えて、個性的なアピュアランスに仕上げるのが得意なメーカーなのだ。
その意味では、ロックスターも同様で、マツダ・ロードスターがベースとなる。エンジンもシャシーも、ロードスターそのものだ。
だが、エクステリアにその面影はない。「ビュート」や「ヒミコ」は、ドアやフェンダーといったどこかにベースモデルの面影が残る。だが、ロックスターにロードスターを感じさせるのは、インテリアだけなのだ。外から眺める限り、ロードスターらしさは皆無だろう。ここまで大胆に手を加えたのは、過去には世の中を震撼させた「オロチ」をリリースしたとき以来であろう。
だからこそ、試乗途中で立ち寄ったパーキングで、熱い視線に晒されたのだと思う。
「この外車はなんだ?」
「コルベットか?」
視線の意味は、おそらくそんなところだと思う。