恥ずかしささえ乗り越えられればAクラスと恋人になれる
走る、曲がる、止まるは完璧。そこに加わる、「話す」はどうか。ということで「MBUX」をどっぷりと試してみたのですが、最初はボイスコントロールを起動するキーワード、「Hi,Mercedes(ハイ! メルセデス)」を口にするのが恥ずかしくて照れました。が、その賢さには驚くばかり。たとえば今までの音声認識だと、エアコンの温度を変えたければ「温度、23度」なんて不自然に言わなければ作動しなかったのに、MBUXは「ちょっと暑いんだけど」と話しかけるだけで、「エアコンを23度にします」と答えてそのとおりにしてくれます。「東京の天気はどう?」とか、「近くにコンビニある?」とか、ほとんどの言葉を理解してくれて、だんだんAクラスとの距離が近くなってくる感じです。
たまに、私の滑舌が悪いのか、トンチンカンな答えや、認識してくれずに何度も「何をしますか?」って言われちゃって悲しくなりましたが、MBUXには学習機能もあって、私のクセや新しい流行語も覚えてくれるのだとか。家族への帰るコールとか、決まった時間に同じ電話番号にかける人や、好きなラジオ番組を欠かさず聴く人とか、そういうルーティーンも覚えて推奨してくれるらしい。なんだか、自分のことをわかってくれるクルマって、離れられなくなりそうですね。
欲をいえば、起動キーワードを好きな言葉、たとえば「あのさ、A子ちゃん」とか、照れずに話しかけられるワードに変えられたらもっと嬉しいのですが。でもそんなMBUXも含めて、新型Aクラスはメルセデス・ベンツに敷居の高さを感じている人にも、「意外とフレンドリーなのね」なんて親しみやすくしてくれそうだし、これまで「クルマなんていらない」と思っていた人にも「ちょっと面白そうだな」と新しい魅力を伝えてくれる、大きな一撃になりそうです。
そして、そうした飛び道具で釣るだけでなく、振動やノイズを抑えるなどクルマとしての基本性能をしっかりと高めてきたところに、メルセデス・ベンツの良心と誇りを感じた1台でした。