椅子はあるけれど日常的に座ることは厳しい!
ミニバンだけでなく、最近はSUVにも3列シート車が続々登場している。しかし、その3列目席、“大人が乗る”前提なら、ミニバンならM&Lクラスボックス型以上、SUVではマツダCX-8やボルボXC90クラスの大きさ、ホイールベースにならないと、けっこうきびしい。実際、コンパクトミニバン、ミドルクラスSUVの3列目席は、小柄で細身の人、もっと言えば子供専用席だったりするのである。
加えて、2列目席がベンチタイプの背もたれが高めのシートだと、3列目席に座った時に2列目席の背もたれが壁のように立ちはだかり、実際のスペースより狭く感じたりするからやっかいだ。
ここでは、日常的に大人が6人以上乗車する機会が多いなら、要考慮したい3列シートのミニバン、SUVをピックアップしてみた。
1)ホンダ・ジェイド
去年、満を持して2列シートのワゴンタイプを登場させたジェイドの3列目席は、はっきり言って狭い、乗りにくい、である。3列目席の寸法は座面長440mm、座面幅855mm、シートバック高580mmとコンパクトで、特に幅方向はかなり狭い。しかもフロアとシートの段差が小さく、体育座りを強要される。たとえばかつてのストリームの3列目席はクッション長440mm、シートバック高570mmとほぼ同等だが、クッション幅は990mmもあったのだ。
したがって、3列シートのジェイドは3列目席を格納し、2列目キャプテンシートの独立4座のスタイリッシュサルーンとして使うのが正解。おっと、そうすると、4人しか乗れませんが……。そもそも7人も乗ったら、ジェイドらしい活発でスポーティーな走りは望めなくなる。結論としては、ジェイドは5人乗りでワゴンのようなラゲッジルームを備えた2列シート5人乗りを選ぶのが正解。ジェイドの名誉のために付け加えると、2列シートのRSは素晴らしくいい!! ホンダらしい生粋のスポーツワゴンである。
2)三菱アウトランダー
同じ三菱のSUVでもじつは格上のパジェロより室内空間が広いのが、アウトランダー。そのガソリン車には3列シート、7人乗りが存在する。が、3列目席使用時のラゲッジスペースの奥行きは約35cmでしかなく、7人の荷物の置き場に困って当然。しかも3列目席はあくまで補助席的であり、大人が座るにはかなり窮屈。もちろん、売れているのは2列シート仕様。
アウトランダーの7人乗りを購入するのであれば、なんとかその仕様の試乗車、展示車を用意してもらい、実際に3列目席の実用性を確認する必要がある。走破性抜群の3列シート、7人乗りのクルマを望むなら、3列目席にゆったりとしたスペースを備えた、ミニバンの皮をかぶった本格SUVと言える、間もなく発売される新型デリカD:5を待つことだ。
3)BMW2シリーズグランツアラー
BMW2シリーズグランツアラーの3列目席はシートサイズ、居心地ともに子供専用席そのもの。大人が座るにはまったく不向き。
愛犬や小さな子供専用席と考えたい。3列目席は格納し、緊急席付きの2列シートのスポーツワゴンとして使うのが正解だ。そもそも、2シリーズグランツアラーに7人乗っている姿は、美しくない……。
と、ここまでが、3列目席に過大な期待を抱いてはいけない3台。ここからは、3列目席がそこそこ使えるものの、さすがにMクラス&Lクラスボックス型ミニバンのようにはいかない……3列シートモデルである。