この3列目は使えない! 6人以上で乗るなら選ばないほうがいいミニバン&SUV5選 (2/2ページ)

座れるものの長時間乗車は厳しいモデルも

4)VWゴルフトゥーラン

 走りの質感、乗り心地、トルキー極まる動力性能、先進安全支援機能では文句なしのトゥーラン。ミドルサイズのヒンジ式ミニバンとしては希少な存在かつ出来のいいツアラーだ。

 その3列目席の乗降は、2列目席のレバーを引くだけのイーシーアクセス機能で乗降幅が約31cmと広く、ルーフも高めなので楽々快適。3列目席のスペースも身長172cmの乗員基準で頭上方向に90mm、ひざまわり方向に0~40mm(2列目席のスライド位置による)ほどのスペースがあるから、2列目席を前にスライドしてもらえば、空間的には決して狭すぎない。

 が、フロアに対してシート位置が低く、いざ着座すると腰だけで体重を支えるような体育座り姿勢を強要され、乗り心地も1、2列目席の超快適度とは別物で、段差などでのショックが直接的に伝わってくるのが惜しいところ。

 加えて1、2列目席の抜群の静かさに比べ、リヤまわりからのロードノイズもやや気になりがち。カップホルダーや小物入れもあって便利なのだが、大人が快適に長時間座われる空間ではない。3列目席は格納し、大空間ゴルフヴァリアント=ステーションワゴンとして使えば、文句なしである。

5)レクサスRX450h L

 ミニバンを持たないレクサスにラインアップされる3列シートモデルがRX450h L。3列目席は意外なほど乗降性に優れ、専用エアコン吹き出し口が備わる空間なのだが、頭上、ひざまわり空間の制限から快適に座れるのは身長160cmぐらいまでと考えていい。

 しかも、着座感は2列目席が壁のように立ちはだかるイメージ。北米仕様にある2列目セパレートシート(6人乗り)仕様なら、前方見通し性や車体内側の足を投げ出せるので、快適度が増すはずだが、日本仕様は今のところ2列目ベンチシートの7人乗りのみ。実際のスペースより窮屈に感じられるのが惜しい。

 そのほか、プジョー5008、シトロエン・グランドC4スペースツアラーの3列目席も補助席的だ。

 とはいえ、上記の3列シート車も、普段、3列目席を格納して大容量2列シート車、ワゴン、スペースSUVとして、あるいは3列目席にペットや小さな子供を乗せる用途で使うなら、まったく問題ないことも付け加えておこう。いざという時に3列目席があるとないのとでは大違い。「3列シートは2列シートを兼ねる」が、「2列シートは絶対に3列シートを兼ねない」である。もっとも、そのいざという時がどのぐらいの頻度であるかは、ユーザーそれぞれではあるのだが。

 ちなみにホンダ・フリード、トヨタ・シエンタの3列目席は、コンパクトなサイズながら、ゆとりある全高、優れたパッケージ、乗降性によって、大人でも不自由なく乗り込め、座れる空間である。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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