昔は簡単に操れないクルマも多数存在した
そして次は乗りこなす喜びだ。今のクルマは、危険回避も含めてレベルが高く、場所の問題さえクリアすれば、誰でも安全に超高速運転も可能だったりする。一方、昔のクルマはひと言で言ってしまえば、完成度は低くて危険な部分も多かった。
足まわりは今みたいにしなやかではなく、バタバタしていたし、MTのシフトだってスコスコ入りはしなかった。それをなんとか入れたときの満足感は今のクルマにはないもの。
さらにスターレットGTなどのFFスポーツに乗って、ハンドル切ってアクセル踏んだ日には、フロントが暴れまくって抑えるのが大変だったし、雨の日の高速道路で、コーナリング中にアクセルを踏むと、車線半分ぐらい横っ飛びしたりした。ボディだって今から思えば、ヨレヨレ。もちろんブレーキは利きが甘いし、そもそもコーナーで気持ちよく曲がるクルマも少なかった。
それでもせっせとパーツを交換したりしてクルマをチューニングして、恐怖心も含めて上手くいなしながら走るのは楽しかったし、それができるのが運転上手の証だった。
やり取りした開発者のなかには「今、危険なクルマを作れってことですか?」という人もいたりするが、昔のクルマが楽しかった理由というのはこれであると思う。
別に今、曲がらないとか、入らないシフトを作れといっているわけではなく、スポーツカーでも優等生になりすぎた最新のクルマに対して、昔はよかっただけで終わるのではなく、現代流運転の楽しさ復活のヒントがあるのではというだけ。広告宣伝的な走る楽しさではなく、安くても、早くなくてもいいから、楽しく思えるポイントはどこかにあるはずだ。