ゴルフにも勝るエンジンフィールの濃厚さを持つモデルが挑む!
日本のコンパクトカー、それも主にヨーロッパで区別されているCセグメントに属するクルマたちのベンチマークは今も昔も歴代VWゴルフである。いや、その下のフィットクラスでもベンチマークはVWポロ。VWはコンパクトカーの世界基準であり続けている。
MQBを採用した7代目ゴルフの完成度の高さは言うまでもないが、ゴルフ7.5と呼んでいい最新モデルに至っては、コネクティビリティ機能、先進安全支援機能も充実。その商品力は2013年の国内導入以降、ますます高まっていると言っていい。基準のハッチバックのほか、GTI、Rライン、R、そしてヴァリアントと呼ばれるコンパクトワゴン、そのクロスオーバーモデルのオールトラックなどまで用意するバリエーションの豊富さも魅力となる(ミニバンのトゥーランもゴルフ一族)。
さて、そんな世界基準のゴルフに対抗し、それこそヨーロッパでもしのぎを削る国産コンパクトは数多い。
1)トヨタ・カローラスポーツ
その筆頭がカローラスポーツ。ひいき目なしにカッコいいと思わせるデザインもさることながら、トヨタの新世代プラットフォームのTNGAを採用することで走りの質はトヨタ車の中でもとびっきりのレベルにあり、ボディ剛性、操縦性、フットワーク、乗り心地はゴルフに迫るレベルにあると思える。
さらに全車にDCM(専用通信機)を標準装備し、オペレーターサービス(エアバッグ展開時には救急車を呼んでくれるなどのサービスも!)を受けられる先進性は、ゴルフにはない機能、商品性である。
が、すべてよし、というわけではない。ゴルフに譲るのが、エンジンだと思える。1.8リッターエンジン+2モーターのハイブリッドは燃費の良さと静かさが自慢だが、エンジンフィールは鼻が詰まったような印象で、終始、すっきりしない。
ゴルフのエンジンラインアップに近い1.2リッターガソリンターボは鼻詰まり感こそないものの、高回転では歓迎しにくいノイズを盛大に発生。こちらも、エンジンフィールという点で比較すれば、実用エンジンとして文句なしのゴルフ(1.4リッターターボ)に譲る。逆に言えば、それ以外はゴルフについに迫り、並んだとも言えそうなのが、カローラスポーツである。
2)スバル・インプレッサスポーツ
スバル最新のグローバルプラットフォームを初採用したのが5代目インプレッサ。水平対向エンジン、シンメトリカルAWDなど、ゴルフにないアイテムを持ち、最新モデルではアイサイトに代表される先進安全支援機能、安全装備を一段と充実させている。
その走りは、初めてステアリングを握ったとき、極めてゴルフに近い印象を受けたことを覚えている。操縦応答性と安定性のバランスが素晴らしく、ステアリングを切った時のクルマのリニアで確実な反応が、ゴルフを思わせたのである。乗り心地にしてドシリと重厚。ゴルフのようなクラスを超えた乗り心地を示し、またエンジンフィールの濃厚さはゴルフにも勝る魅力となる。
もっとも、それは2リッターエンジン搭載車の話。1.6リッターモデルになると、途端にフツー、というか国産車っぽい乗り味になってしまいがち。欧州車に匹敵するドライブフィールを望むなら2リッターエンジン搭載車、あるいはさらに濃厚・上質な走りが本格SUV並みの走破性とともに手に入るXVアドバンスに尽きる。